理事長はマイカーを何千万円もする超高級外車に乗り換えた
繁忙期と比べて「客」が3分の1に減った現状に対応すべく、10人いたアルバイトも4人に減った。実際、新型コロナが感染症法上の分類で2類から5類に引き下げられる5月7日をもって、この無料検査も終了する。彼らにとっては「憂き目」なのだろう。
「そうなんでしょうね。繁忙期はPCR無料検査だけで毎月4千万円ぐらい売り上げがあったわけですから。この間、うちの理事長はクルマを何千万円もする超高級外車に乗り換えたし、海外に豪遊しに行ってほとんど帰ってきませんでした。まあ、コロナで儲けていたのはこの無料検査だけじゃありませんしね」
男性が勤めるクリニックは在宅医療も行っており、以前から在宅往診で医師を派遣することが特徴の一つだった。コロナ対応となると、さらにここに「ドラ」が乗ってくるという。
「PCR検査だけやりに来てくれという依頼も結構あります。これは患者さんにとっては無料ではなく健康保険適用になりますが、夜間往診帯に、多い時で30件ぐらいはこれがあって、検体回収して機械にかけて判定し、結果をお伝えするサービスです。これはこれで補助金が出ますし、陽性判定が出たら患者さんは『コロナ患者』になり、公費負担で1円もかからない。医療機関には保険請求プラス補助金が入ってくる仕組みになっているので、陽性者の往診に行くと1人あたりなんだかんだで10万円ぐらい入ってきます」
陽性だからといって症状があるとは限らない。隔離期間が終わるまで何の症状も出ないケースがあるのは、この「病気」に関しては既に周知の事実だろう。医療機関にとっては純利を得る貴重な手段だ。麻雀で言えば、最小役なのにドラだけで満貫を上がるようなお得感がある。よく出来たビジネスモデルだ。
男性がさらに詳細を語る。
「コロナにかかると、家から出られなくなってしまうので、往診してあげると患者さんからは感謝の言葉しかいただかない。症状があったとしても、今どきはただの風邪がほとんどですから、一応、血中酸素濃度を測って『安静にして栄養つけてください』と言うぐらいです。それでも診察料が6〜7万円、補助金が陽性者1人あたり3〜4万円になるので、トータルで10万円ぐらいになるんですよ。金額は、東京都さまが定めたことなので、文句も言えませんし」