「再検査します。何なら往診もできますよ」と営業をかけた

無料PCRにしても往診にしても、結局は我々の血税が巡り巡って充当されているのだから絶句するしかない。

「申し訳ないぐらい儲かってます。私が担当なので間違いない数字なんですけど、その補助金だけで毎月2千万円から4千万円は請求かけてきましたからね。もちろん無料PCR検査の分は別ですよ。陽性者が増えれば増えるだけ儲かる衝撃のシステムです」

儲かるビジネスだが、検査の信頼度はどうなのか。

「不正な検査をしていることは断じてありませんが、偽陽性は少なくありません。うちの機械は一度に100体近い検体をかけられるんですが、機械の内部に汚染が広がると全部が陽性になったりすることもあります。
逆のケースもあります。判定は機械が弾き出す色のデータとCt値と呼ばれる数値、あとはグラフの推移という3項目について行い、3つ揃うと陽性確定なんですが、2項目陽性の場合は陰性とはいえ怪しいので『再検査します。何なら往診もできますよ』と営業をかけます。大体が不安なかたなので、もう一回来られるケースが多いですね。そうなれば補助金ももう一件分増えますし、往診に行こうものなら例によって10万ぐらい儲かりますんで。患者さんからすると『こんな夜遅くに家までわざわざありがとう』って感謝しかされないので、罪悪感もなかった」

〈コロナ検査バブル検証〉「感染者が増えると『キター』って感じを繰り返した3年間で…」PCR検査職員が決意の告発「自分たちのやったことが医療機関として正しいことだったのかわからなくなってきた」_5
告発する40代男性(撮影・集英社オンライン)
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この男性は事務職員だが、個々の医師にとってもおいしいビジネスなのか。

「私が帯同していた夜間では、時給は1万円ぐらいなので一晩で10万円ぐらいになります。コロナ陽性者といっても症状がある人でも経過観察ぐらいしかすることはないので『ご気分いかがですか。体温測りますね。お薬は必要ですか』と聞くぐらいで、あとは移動の車の中で寝ているだけ。だから仕事自体はキツイとは言い難いですね。お医者さん専門の派遣会社があってそこに登録している方に来てもらうんですが、みなさん喜んでました」

3年に及ぶ「新型コロナウイルス感染症との闘い」とは誰が何と闘い、誰が敗れて誰が勝ったのか。無症状感染、新生活習慣、専門家会議などのキーワードは「感染症対策」ではなく「セールストーク」だったのか。
今後、倫理観という観点からもきちんとした検証が必要である。

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取材・文 集英社オンライン編集部ニュース班