2代目社長は「うっかり継ぐ」でもかまわない
お坊ちゃん社長の会では、2代目社長の事業継承のプロセスとして「継・守・破・離」を提唱している。
「守・破・離」は芸道や武道の分野で古くから伝わる言葉だ。ある技術に熟達するためには、まず師匠の教えを守り、その後に教えられた型を破り、最後に型から離れて技術を自らのものにするという。お坊ちゃん社長の会では、その頭に「継」を付け加えている。
「2代目社長も武道などに似ていて、初代社長という師匠がいて、その教えを守・破・離のプロセスを経て自分のものにしていきます。ひとつ違うのが、2代目社長は『うっかり継いでしまう』ことです。事前に家業の経営や財務を調べ尽くせば、さまざまなリスクが浮き彫りになって、とても事業を継ぐ気にはなれません。
だからこそ、2代目社長は『うっかり継ぐ』でかまわないと思います。ぼんやりとした意思で家業を継いで、それから自分にとっての『守・破・離』を少しずつ突き詰めていけばいいんです」
「継・守・破・離」のプロセスを経た会員からは、業績向上や新規事業への投資を決断できた経営者も出ているという。お坊ちゃん社長の会や2代目ビジョン経営のコンサルティングは、田澤氏にとって今やライフワークだ。
「経営って嫌なことが8割以上ですからね。楽しいことなんてなかなかない。だから、お坊ちゃん社長の会で自分と似た経験をした人の支えになれるのは、やりがいがありますよね。生きる動機にもなっています」
取材・文/島袋龍太