2023年も賃上げは絶望的、増税は不可避。「ならばミニマリストで生きていくのです」 経済ジャーナリストが提唱
物価高騰の一年。1世帯4万5000円の支援では足りない!
ウクライナ危機、安倍元首相銃撃事件、収束の気配のないコロナ禍…後世にも語り継がれるであろう波乱の年となった2022年。「悪い円安」が流行語となり、物価高騰が急速に進むなど、経済への不安が高まった年でもあった。
「新しい資本主義」を掲げて船出した岸田政権の経済政策は、果たしてどれだけの成果を残したのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏とともに振り返った。
――2022年は「悪い円安」や物価高騰など、経済の話題が尽きない年でした。まず、今年の岸田政権の経済政策に点数をつけるとしたら何点でしょうか?
経済政策の点数ですか? 30点です。
――厳しい点数ですね……。
人によっては100点をつけるかもしれません。「デジタル田園都市国家構想」で儲けている広告代理店とか、コンサル会社とかは。でも、ごく普通に暮らしている市井の人々の生活が潤うことは、この1年ほとんどなかったじゃないですか。
――今年は物価高による家計負担増が相次ぎました。
思い出していただきたいのですが、物価高が始まったのは2021年です。ウクライナ危機の前ですよ。世界中で新型コロナの流行が沈静化して、モノの需要が高まり、食料やエネルギーの価格がじわじわと上がっていました。
それにも関わらず、これという手を打たず、今年2月にウクライナ危機が起こっても目立った動きが見えない。その間に物価はどんどん上がっていって、結果的に政府が総合経済対策を閣議決定したのは、今年4月ですよ? どれだけ遅いのかと驚きましたね。
――今年は4月、10月と2度の総合経済対策が閣議決定されました。2度目の総合経済対策には29兆円の補正予算を計上し、電気代引き下げなどの家計支援も盛り込まれていますが……。
まったく足りません! 政府は電気、ガス、ガソリンなどの費用に1世帯あたり4万5000円(※1~9月、標準世帯)を支援すると言っていますが、日本全国に一体どれだけの世帯があるかご存じですか? 約5500万世帯ですよ。
ということは、29兆円を5500万世帯で割ると約52万円。私たちは1世帯あたり52万円払っているのに、4万5000円しか恩恵を受けられないんです。あまりにも国民が蔑ろにされています。これじゃあ、まるで「ぼったくりバー」じゃないですか。
そもそも、2度目の総合経済対策のタイトルは「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」です。「物価高克服」と銘打つなら、今まさに苦しんでいる家計をいかに楽にするかに集中しないといけない。
なのに、リスキリング(新しい職業に就くため、あるいは今の職業での変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること)や、GX(グリーン・トランスフォーメーション)などにも多大な予算がついていますよね。それは今やることなのでしょうか? やるべきは家計の底上げだと思います。