騒動後も芸人仲間だけは見限らなかった
――闇営業騒動について、今だからこそ話せることはありますか?
出ていることがすべてです。当時は悪いことをしているというより、むしろ良いことをしてるとさえ思ってしまいました。芸人を呼んでくれた社長も喜ぶ、芸人も喜ぶ、僕の顔もたつ。みんなハッピーだと。今思うと、会社を通さずに後輩を呼ぶということが、誰もその後の責任を取れないことだという自覚もなく、考えが浅はかすぎました。人と人を繋ぐとこの怖さを何も考えていませんでした。
相手が反社とは本当に知らなかった。当時、実業家としてメディアにも出ていたため、それを見て信用してしまったんです。世の中にはうさん臭い人がたくさんいるけど、僕のまわりはいい人しかいないんだと思い込んでました。人を疑うことをしなかったんです。
――“人脈芸人”だった自身を振り返ってみて。
人脈で失敗したのは間違いありません。でもやっぱり人脈に救われた部分も多くて、清掃業を始めたら知り合いがたくさん清掃に呼んでくれた。(レイザーラモン)HGも僕のせいで謹慎になってたはずなのに今でも清掃を依頼してくれます。(同じく謹慎になったガリットチュウの)福島(善成)くんも手を差し伸べてくれた。松村邦洋さんにはお酒や相田みつをの詩集を送っていただいたり、電話で励ましていただいたこともありました。
――逆に騒動があって手のひらを返してきた人はいますか?
手のひらを返したという表現が正しいかわからないけど、今も経営しているイリエコネクションは高校の同級生と立ち上げたのですが、騒動が出てすぐに「やめる」と言われたっきり……。SNSのフォローも外されました。
もちろん僕が悪いけど、一緒に乗り越えてくれるものだと勝手に思っていて僕の考えが甘かったのだと気づきました。自分はそれほどのことをしてしまったのだと、大変ショックを受けました。あとは若手の経営者の方々で連絡が取れなくなった人もいましたね。
ただ、芸人の先輩後輩には誰からも見限られなかった。当時の僕と連絡を取るということは、心の中ではきっと怖かったと思います。感謝しかありません。
――吉本に思っていることは?
迷惑をかけてしまったいう思いだけです。たくさんの芸人の人生を変えてしまいました。どんなに弁明したとて、結果で示さないと、信用してもらえない。だからまた信用してもらえるように、今全力で頑張っています。
難しいことだとは思いますし、いつになるか分かりませんが、ピカピカのイメージキャラクターをよしもとの芸人さんで出来たらなあと勝手に夢見ています。いつの日か、この経験があったから今があると言える日が来る人生にしたいです。
――仕事は楽しいですか?
正直、年齢もあってキツイですよ。でも大変だとは思わないようにしてます。僕って高校を卒業してから26年間芸人しかしてこなかったから、仕事って楽しいものだとずっと思ってたんですよ。バイトもあったけど、舞台でウケれば報われるし、毎日が楽しかった。人脈が広がって社長とBBQに行けば車代ももらえる。楽しくてお金も稼げて、最高だなと。
でも清掃業界に入って仕事ってこんなにキツイんだ、これをみんな踏ん張ってやってるんだと初めて知りました。清掃で車代としてもらっていた金額を稼ごうと思ったら本当に大変。改めて、ぶっ飛んだ世界にいたんだと思わされましたね。
――入江さん自身、いまだに社長たちと会食に行くことはありますか?
ありますよ。昨日も医者の先生との会食に行きましたし、今日もお世話になっている社長と会食です。とてもありがたいことに、騒動後もずっと変わらずたくさんの方々に支えていただいて、今の自分があります。
社長さんたちに女のコのお店に連れて行っていただくこともあります。女のコ好きなのは相変わらずです。本音の本音の部分は変えたくないし、変えられない。それでいい。極論をいえば、清掃業をマジメに取り組んで、夜はクラブでシャンパンを開けたって僕はいいと思っています。
――しかし、また反社が紛れ込んでいる可能性も……?
そうですね。だからコンプラチェックはものすごく慎重にやるようになりました。ピカピカのフランチャイズ先も、反社チェックのうえ、契約書を締結しています。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/Soichiro Koriyama