誰もいない砂漠の真ん中で身動きできなくなったら!?
『127時間』(2010)127 Hours 上映時間:1時間34分/アメリカ・イギリス
『トレインスポッティング』(1996)のダニー・ボイル監督が、アカデミー監督賞に輝いた『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)に次いで製作・監督・脚本を務めた『127時間』(2010)。サバイバルのために究極の選択を迫られることになった主人公の孤独な戦いを描く。
物語は、金曜の夜にユタ州のキャニオンランズ国立公園に出かけた主人公アーロン(ジェームズ・フランコ)が、周囲に人っこひとりいない砂漠の真ん中の巨岩地帯スロット・キャニオンで、キャニオニング中に岩と共に滑落してしまい、右腕が岩と壁の間に挟まって身動きが取れなくなってしまうという展開。
助けを求めて叫んでも誰もいない。持っているのはボトル一本の水と僅かな食糧、そしてナイフだったが、ナイフで岩を削ろうとしても全く無駄だとわかる。
そして5日が過ぎ、木曜の朝、もうろうとする意識の中で彼は、持っていた短いナイフで腕を自ら切断するしか助かる道はないと覚悟する。
驚くべきことは、本作は登山家アーロン・リー・ラルストンの自伝に基づいて製作されていて、つまりはほぼすべてが実話だということ。
ダニー・ボイル監督は、本作のことを「動かないアクション映画」と評しているが、自伝に基づいているのだから最後は助かるに違いないとわかってはいても、絶望的な状況に見ている側も焦燥感に苛まれること必定だ。
痛いのが苦手な人は、痛さを疑似体験させられるようで辛いかもしれないが、エピローグに登場する実際のアーロンの映像に、人間の持つ底知れぬ生命力に感動させられる!