【知的風ハットのジャンル別映画5選】

「最恐サメ映画」ベスト5
「最恐ホラー映画」ベスト5
「モンスター・パニック映画」ベスト5
「やばい奴映画」ベスト5
「低予算映画」ベスト5
「アサイラム映画」ベスト5
「キモキャラ映画」ベスト5
「カルト宗教映画」ベスト5
「クリスマス・ホラー映画」ベスト5

第5位:『セイント・モード/狂信』(2021年)

狂気・変態・残虐・超人、それぞれの〝やばさ〟を極めたキャラクターが出てくる「やばい奴映画」ベスト5_1
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まずは比較的近年の作品からの選出として、サスペンス・ホラー映画、『セイント・モード/狂信』(2021年)に登場するヒロインのモードについて解説しよう。

かつてとある出来事から職を辞した元看護師のモードが、新たな雇い主のもと住み込みで働き始めるも、敬虔なキリスト教徒としてその行き過ぎた信仰心を暴走させ、ついには破滅的な道を突き進む──というのが本作の概要。

しかし、よくよく彼女の言い分を聞いてみると、基本的には「なんで私がこんな目に遭うんだ」「こんなはずじゃない」という現実逃避気味な他責思考の持ち主であり、神に対する不平不満もぶつくさと多い。

他者には潔癖なまでの清廉さを要求する反面、自らは挫折を経験するとあっさりやけっぱちになって淫らな行為に走るなど、狂信どころか非常に人間臭いブレ方も披露する。が、過去のトラウマと厳しい現実のストレスが、孤独な彼女の精神を苛み、ピークに達したとき、状況は一変する。

突然降りてきたという〝啓示〟に従い、まるで聖女のように振る舞い、自傷行為に挑むモードの姿は、もはや完全に〝やばい奴〟であり、狂信者(宗教的に正しい道を歩んでいるかどうかとは別)。

映画としては実に哀しく痛ましく、そして底意地の悪い良作である。