暴力団幹部が語る金品を換金する一連の流れ
関東など各地で相次いでいる強盗事件は、組織的な犯行、資産家名簿などのリスト、闇バイトでの人集め、指示役の存在など、犯行の手口やその実態が徐々に明らかになってきている。
指示役とみられているのは、フィリピンのマニラ近郊にあるビクタン収容所に収容されている今村麿人容疑者と渡邊優樹容疑者ら4人。数年前からフィリピンを拠点に活動している特殊詐欺グループの幹部である彼らはどのように犯行を実行に移し、盗んだ金を換金してフィリピンへ運んだのだろうか。
ある暴力団幹部が、盗んだ金品を換金する一連の流れと役割について明かしてくれた。
「今回の事件は特殊詐欺のやり方をそのまま踏襲している。特殊詐欺も強盗も同じで、1つの流れがある」
まずは特殊詐欺など、資産家リストなどから犯行に及ぶ場合だ。これを幹部は“通常の流れ”と説明する。
「名簿屋→テレアポ→資金確認→調査部隊→実行部隊→集金部隊→換金部隊→本体」という流れだ。
名簿屋はリスト屋とも呼ばれ、資産家リストや多種多様な名簿を売買。テレアポは特殊詐欺での“掛け子”役で、金を持っている高齢者などに電話をかける。この時、資金確認も掛け子が行う。
多発している「アポ電強盗」では、掛け子役の人間が狙う家に電話をかけ、資産状況などを確認する。調査部隊は事前に住宅や周辺状況を下見し、家人の留守時間などをリサーチする。
実行部隊は実行犯となる人間をSNSなどで集め、現場に送り込み指示する役と、集められた実行犯らに分かれる。
特殊詐欺なら受け子と出し子、強盗ならタタキだ。集金部隊は受け子が受け取った現金や出し子がATMから引き出した金、盗んだ金品を集める役。換金部隊は現金以外の金品を金に換え、海外に犯罪グループの拠点がある場合、日本から持ち出しやすいよう換金する役だ。
この流れが簡略化されることもある。狙われる住宅や店舗はすべてが名簿屋のリストに名前があるわけではない。情報は情報屋と呼ばれる者から入ってくるという。
その流れは「情報屋→調査部隊→実行部隊→集金部隊→換金部隊→本体」だ。
「ターゲットの情報はその都度、情報屋から入る。情報屋が狙うのは反社だ。その情報はアングラマネーがメイン。一連の連続強盗事件の被害者宅のなかには、この情報屋によって狙われたであろう野球賭博の胴元や闇カジノ運営関係者の家があった」(幹部)