第1位:『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』(1984年)

殺人サンタクロースが襲来!サンタの大虐殺が始まる…クリスマス・ホラー映画ベスト5_5
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ラストは先に触れた『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』(1984年)。クリスマス・ホラーの金字塔にして、一風変わったスラッシャー映画である。

特筆すべきは主人公兼殺人鬼を演じるビリーが、殺しに手を染めるまでのオリジンを、これでもかというほど精細に、そして陰鬱に掘り下げている点。「悪い子はサンタにお仕置きされる」という祖父の話を真に受けてしまったビリー少年は、その日偶然サンタの格好をした強盗に両親を殺されてしまい、サンタやクリスマスというものにトラウマを抱くようになる。

その後孤児院に移った彼は、毎年クリスマスが近づく度に精神不安定になり、厳格な修道女から激しい体罰を受け続けたことで、「セックスは罪」「そして罪を罰するは善」という歪んだ価値観を刷り込まれてしまう。
それでもかろうじて己を律し、たくましい好青年に成長したビリー。だが、ある年のクリスマスに職場でサンタクロースの扮装を強いられた上、激務の果てに、同僚の婦女暴行未遂現場に遭遇したところでとうとう理性が崩壊。

狂気の連続殺人鬼に変貌する。

そんな悲劇の青年ビリーを主役に据えた、徹底的に陰惨なドラマパートは、後半からのスラッシャーパートよりもある意味面白い。多かれ少なかれ感情移入してしまうこと間違いなしだ。

ちなみに本作はシリーズ化しており、続編が存在する。

今回はここまでとするが、クリスマスシーズンを題材にしたホラー映画は、ほかにもまだまだ存在する。サンタクロースの服が赤いのは、悪い子の返り血で染まってしまったせいなのかもしれない。

文/知的風ハット