――井口さんは昨年、「地に足つけろ!」で「週刊SPA!」の裏流行語大賞を受賞されていましたね。

そうですね、浮かれてる後輩を見るたびに「地に足つけろ!」と言い続けていて。だから、楽屋から笑顔が消えましたよ。みんな楽しくなくなりましたね、それで(笑)。
それ言ってるぼくがダメになるんなら、まだ「あいつ間違ってたじゃねーか!」って言えますけど、M-1で結果も出しちゃってるから、なんも言えないし。
まあ本当は、はしゃいでるほうがいいんでしょうけどね。なんか、そういう気持ちがあんまり出てこないですよね。

「だから、はしゃいでる後輩とかがムカつくんですよ」 2度目のM−1決勝を控え、いまウエストランド井口が語る仕事とお笑いの現在地‗03

――ファンとしては、はしゃいでくれたほうが応援しやすいというのはありそうです。

そうなんですよね、だから応援されないんでしょうね。「向上委員会」に出てるとか、「ダウンタウンDX」に出てるとか、すごいことだと思うんですけどね。

――いわゆるお笑い好きが見るような番組は一通り網羅されている感じはします。

まあ結局、お笑いファンなんてどうせ「ラヴィット!」に出ないと認めてくれないんで。
気づいたんですけど、「オンバト」に出て、「レッドカーペット」も出て、「THE MANZAI」は3年連続認定漫才師になって、それでもまだM-1の決勝にいるっていうコンビ、ほかにいないじゃないですか。
本当にすごいことだと思うんですけど、ついに来たかっていう感じはないし、だから何にもないんでしょうね。周りが色めき立つこともないし。

――たしかに、いわゆるネクストブレイク枠の期間があまりにも長すぎたのかもしれません。

そうっすね。でも、そこからちゃんと頑張って活躍してるって、本当にすごいことだと思うんですけどね。ネタとかも、みんな認めたくないんでしょうね。

――ネタとしてあまり評価されにくい芸風だと、ご自身でもおっしゃっていますよね。あまり作品っぽくないというか。

いやいやいや! ウケてるほうが絶対偉いですからね。どうせお笑いファンは眼鏡かけた細身のやつのネタしか評価しないんだろうけど、本心ではこっちの方がいいんだって思ってますよ。もちろん、認めてほしいですけどね、うん。まあそうはならないでしょうね。