明日死んでしまう覚悟で歌っている

――これ以上、前に進めないと思えるところまで行ってしまったんですね。

1個超越したかもしれないみたいなところまで行けて嬉しかったのと同時に、これが折り返しだな、40周年まではこれはもう無理なのかなって思った瞬間に、ガーっと落ちたんですよね。

でも、次のライブまでの間に、札幌の実家近くの森の中にあるご飯屋さんに友達と行って、星を見ながら過ごしたりしていたとき、それからは吹っ切れちゃったの。限界が見えたのなら、ベタ付きで天井にタッチして、ここが本当に限界ですねっていうところまで行ってみようと思ったんです。そこからのツアーは全部、毎本、毎本、全力ですね。

――全60本以上にわたる全国ツアーですが、スタート時点でこの本数は決まっていたんですか?

最初は全47都道府県をまわろうということで、47本だったんです。20本終わった時点で、「折り返しだね」って言ってたら、「まだです」って言われて「えー!?」って。5月27日がデビュー記念日だから、2023年5月27日までできるだけやりたいって言ってスタッフに任せていたら、ここまで増えて(笑)。療養から復帰した2017年のツアーも、気付いたら85本になっていたんです。

スタッフが「また記録更新しますか?」って言うから、「記録はもう出したからいい!」って(笑)。
自分の中では1本1本、明日ぽっくり逝っちゃうかもしれないっていうつもりでやってます。そうは言っても、若い頃みたいに、翌日調子が戻らない時もあるじゃないですか。でもそれはそれなりに、体の中に歌うための新しい回路が生み出されたりして。だから今、生まれて初めて、歌うのが楽しいんです。今までずっと義務だったから。