100人くらいのアイドルを見てきましたけれど、
結婚に至った子はまだいません
一方で、アイドルグループを運営・プロデュースするオトナの立場はどうなのだろうか。
日本のヴィジュアル系ロックシーンを築いてきた音楽プロデューサーの、ダイナマイト・トミー氏。夏のアイドルイベント「アイドル博」のプロデューサーを務め、これまで多くのアイドルグループの運営にかかわってきたトミー氏に「推しとの恋愛」について話を訊いた。
「本心で言えば、『アイドル自身が幸せになれたらいいんじゃないか』とは思っています。ただ、運営側の立場としては、恋愛は禁止にしています。
大きな理由は、ファンの暴走を防ぐということ。ファンがこじらせてストーカーのようになることはしっかり防ぎたい。恋愛目当てでチェキに何十回も並んでくれたとしても、『ルールとしての恋愛禁止があるから交際はムリ』、というのを最初から明示しているんです。
それでもファンからDMが送られたり、手紙に連絡先が書いてあったりというのはあります。実際にアイドルに届いて成就することもあるかもしれない……でも『それって本当の恋愛なの?』とは思いますよね。
そして現実問題として、アイドルのスキャンダルが表に出れば確実にお客さんは減るので商業的にしんどくなる。それでもその子がこれから幸せに生活できるのならいいっていう思いもあるので……。難しいところです。
これまで100人くらいのアイドルの面倒を見てきましたけれど、結婚に至った子はまだいません。恋愛発覚した子は、『ふつうの生活していきたい』とたいてい自ら辞めていきます。逆にネット上で交際がバレちゃった子はクビですね」
伝統化した「恋愛禁止ルール」は今後どうなるのか。
「世間から『アイドルだって恋愛していいじゃない』という声があがっていることもわかっていますし、ちょうど僕らも切り替えたいとは思っているんです。
仮想恋愛の相手のアイドルから、歌でも踊りでも表現できるアーティストになってもらう。アイドルのままだと『ファンの人を悲しませないため』に恋愛禁止をつけてブランド力を上げなきゃならないけれど、アーティストになれば実力本位に切り替えられますからね。自分が関わったアイドル全員に長く活躍していってもらいたいと願っています」
アイドル道を突き進んだ先に待っているかもしれない「推し婚」。
さて、次の「希望の星」となるのは、どのアイドルだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班