30代になって自分が投じてみたい題材に挑戦している
──井上さんはここ数年、幼い一人息子を不慮の事故で失う母を演じた『乱反射』(石井裕也監督)や1918年に富山で起きた女性たちによる米騒動の一揆を描いた『大コメ騒動』(本木克英監督)など社会派の題材を積極的に演じていますが、この『わたしのお母さん』はフィルモグラフィでどのような位置づけになりそうですか?
「10代、20代の頃は、どんな役もやってみようと思っていましたが、今は自分が投じてみたいかどうかがはっきりしてきたように思います。『わたしのお母さん』は、日常に埋もれていた夕子の叫びみたいなものを時間をかけて解いていくような繊細さがあって、脚本を書いた監督の思いが伝わってきました。
ラストシーンは見た方によってさまざまな受け取り方がありますが、自分とじっくり見つめ合えるような時間になると思います」
わたしのお母さん
長編デビュー作『人の望みの喜びよ』がベルリン国際映画祭ジェネレーション部門でスペシャルメンションを受賞した杉田真一監督が、母娘の関係を描いたヒューマンドラマ。
明るく人当たりがよく、社交的な母、寛子をどうしても嫌悪してしまう長女の夕子。弟夫婦とのトラブルから突如、同居せざるを得なくなり、鬱屈した感情が積もっていくが……。誰よりも近いのに、誰よりも遠いという母子関係を繊細にすくいとった作品。
第35回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門出品作。
出演:
井上真央 / 石田えり
阿部純子 笠松将 / 橋本一郎 ぎぃ子 瑛蓮 深澤千有紀 丸山澪 / 大崎由利子 大島蓉子 / 宇野祥平
監督・脚本:杉田真一
メインテーマ:mayo 「memories」(ドリーミュージック)
脚本:松井香奈 撮影:鈴木周一郎(JSC) 照明:志村昭裕 録音:山本タカアキ 高田林 整音:長島慎介 美術:宇山隆之
装飾:塩川節子 編集:早野亮 スタイリスト:白石妙子 ヘアメイク:豊川京子
音楽:稲岡真吾 サウンドエディター:伊東晃 助監督:窪田祐介 製作担当:牧信介 伊達真人 企画:堀部昭広 三好保洋 プロデューサー:兼田仁
製作:刈谷日劇 アン・ヌフ TCエンタテインメント 東京テアトル U-NEXT リトルモア
製作プロダクション:プラザ知立 ベストブレーン
配給:東京テアトル 宣伝:マジックアワー
2022年/日本/カラー/1.85:1/5.1ch/DCP/106分
©2022「わたしのお母さん」製作委員会
★11月11日(金)よりユーロスペースほか全国順次公開中
「わたしのお母さん」公式サイト
撮影/藤澤由加 スタイリスト:伊藤信子 ヘアメイク:AYA(TRIVAL)
トップス/TELA(テラ)、パンツ/MIOSMOKEY(ミオズモーキー)、イヤーカフ/dix(ディス)、ネックレス/Lemme.(レム)、シューズ/Ray BEAMS(レイビームス)
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