「アベンジャーズオタク」が大活躍

引き続き新キャラクターの登場が活発なドラマシリーズ。2022年6月に配信開始された『ミズ・マーベル』は、マーベル初のムスリム女性のヒーローでもある。

その能力は原作コミック(体を巨大化できる)とは異なり、「魔法のバングルから発生する宇宙エネルギーを利用し、構造物を作成する」というもの。MCUのミズ・マーベルの特徴は、彼女自身が「アベンジャーズオタク」という点だ。

1作目の公開からおよそ20年が経つMCU。今や、作中でも「フォロワー」が生まれているのは、むしろファンこそ頷ける変化だろう。本記事でヤング・アベンジャーズの話題が何度か登場しているが、これも世代交代を思わせる展開だ。

『ミズ・マーベル』『シー・ハルク』『ソー:ラブ&サンダー』…。本格ホラーにも挑戦するMCUの新たな方向性と世代交代_2
『ミズ・マーベル』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

ドラマつながりで、2022年8月に配信開始された、二つのドラマ作品を紹介しておく。一つは『アイ・アム・グルート』。ただしこれは5分の短編で、作中の時系列としてはフェーズ2の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以下、GoG)後の出来事を描いている。

ベビー・グルートが鉢から踏み出す初めての一歩はシンプルにかわいい。フェーズ5の『GoG』第3弾への期待も高まる。

なお、『GoG』関連で言えば、フェーズ4作品の一部として『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』というタイトルのドラマが、11月25日に配信開始予定。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でガモーラを失ったピーター・クイルに、GoGメンバーが「忘れられないクリスマスを過ごしてもらうために奮闘する」ストーリーだという。

もう一つ、8月に配信開始されたドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』には、女性のハルク「シー・ハルク(=ジェニファー・ウォルターズ)」が登場。

ハルクといえば粗暴で、知的とは言いがたいキャラクターだったが、本作ではその正体である天才科学者のブルース・バナーが理性を保てるようになったことで「スマート・ハルク」になっている。

そんなスマート・ハルクとの訓練により、弁護士であるジェニファーも、変身後ある程度、ハルク由来のパワーのコントロールができる設定だ。

ジェニファーは弁護士とヒーローを“両立”する稀有なキャラクターで、視聴者に話しかける「第四の壁」を越えられる。これはフェーズ5でMCUに合流予定のX-MENの「何でもあり」ヒーロー・デッドプールと同じ特徴だ。

ちなみに、本作ではMCU2作目の『インクレディブル・ハルク』(2008)と、なぜか脈絡なく昨年公開された『シャン・チー』に登場した、アボミネーションが登場する。

『ミズ・マーベル』『シー・ハルク』『ソー:ラブ&サンダー』…。本格ホラーにも挑戦するMCUの新たな方向性と世代交代_3
『シー・ハルク:ザ・アートニー』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

2022年10月に配信された特別ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』もまた、『アイ・アム・グルート』とは別の方向性で毛色が違う作品だ。

人狼になる呪いをかけられたモンスターハンターであるジャック・ラッセル=ウェアウルフ・バイ・ナイトや、同じくモンスターハンターのエルサ・ブラッドストーンが登場。こうした本格的なホラーやサスペンス要素は、1930~40年代のホラー映画にインスパイアされているという。

「マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション」という試みの一環で、MCU世界に含まれることが公表されている。このように、MCUではその方向性も含め、さまざまなチャレンジがなされていくことがはっきりした。