そして最新作『ワカンダ・フォーエヴァー』へ
最後に紹介するのは、映画作品としては最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の直前の作品となった『ソー:ラブ&サンダー』(2022年7月)。
基本的に一人のヒーローの単独作はこれまで第3弾までしか制作されなかったが、『ソー』シリーズのみ、これが第4弾となる。
映画の予告などでビジュアルを観て、ホッとした人も多いのではないだろうか。『エンドゲーム』で自暴自棄になって太り、筋肉質な体が見る影もなくなってしまった雷神・ソーは、すっかり元通りになっている。関連して、一緒に宇宙へと旅立つ描写があった『GoG』の面々も登場するのがうれしい。
そんなソーの元に集い、戦うのは、コーグやヴァルキリー、元恋人のジェーンらかつての仲間たち。本作ヴィランであるゴアの目的が「神殺し」とあって、MCU世界における「神」の存在が掘り下げられていることにも興味が尽きない。
作中でも武器や能力が「引き継がれる」ところが複数にわたり描かれて、これまで紹介してきた作品同様、フェーズ4の大きな特徴はやはり“世代交代”であったとまとめることができるだろう。
最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエヴァー』も、描かれるのはブラック・パンサー=ティ・チャラ亡き後のワカンダ。ティ役のチャドウィック・ボーズマンが大腸癌で亡くなったという悲しいニュースがきっかけとなったストーリーだが、結果的にはフェーズ4の大きな流れに沿っていると見ることができるのではないか。
ここまでMCUをフォローしている人も、フェーズ4以降追いきれなくなってしまった人もいるはずだ。本記事をきっかけに、前者には振り返りとして、後者には大きな流れを掴んでいただければうれしい。
超文明国ワカンダは、ブラック・パンサーは、どのように“引き継がれる”のか。
フェーズ4最後の映画作品となる本作から、否が応にも目が離せない。
▽激動の「MCUフェーズ4」全作品解説(前編)
▽激動の「MCUフェーズ4」全作品解説(中編)
文/あまのなお
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)
■監督:ライアン・クーグラー
■製作:ケヴィン・ファイギ
■出演:レティ―シャ・ライト 他
©Marvel Studios 2022
ヒーロー映画として異例のアカデミー賞®3冠、作品賞も初ノミネートを果たし、全世界で社会現象となった「ブラックパンサー」の待望の続編。
国王とヒーロー、2つの顔を持つティ・チャラを失ったワカンダ国に海の帝国の脅威が迫る。
ティ・チャラの妹であり天才科学者のシュリたちは、この危機にどう立ち向かうのか。
そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。
未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いた、ドラマチック・アクション超大作が始まる。
11月11日(金)全国劇場公開
公式HPはこちら