実際に起きた事件という最大級の恐ろしさ
『八仙飯店之人肉饅頭』(1993) 八仙飯店之人肉焼飽 上映時間:1時間40分/香港
実際の事件をモチーフにした『悪魔のいけにえ』と違い、香港映画『八仙飯店之人肉饅頭』(1993)は、正真正銘、マカオで実際に起きた猟奇殺人事件を忠実に再現した作品。
舞台は1986年のマカオ。美味しいと評判の八仙飯店は、元従業員ウォン(アンソニー・ウォン)が新たな店主となり繁盛していたが、元店主一家が行方不明であることが判明。一方、海岸では手足だけの死体が発見され、警察はウォンが怪しいとにらむ。
ウォンは捜査に来た警察官たちに、サービスで肉饅頭(叉焼飽)をふるまい、彼らはみな「うまい、うまい!」と食べるが、その中身は……。
香港映画らしく、警察官たちの描写はかなりコメディタッチで、相当に凄惨な場面が描かれる(R-18)本作の中ではその点が救いになっている。
また、ウォン役のアンソニー・ウォンはその後『インファナル・アフェア』(2002)などでも活躍しているが、出世作『八仙飯店之人肉饅頭』のインパクトが強すぎて、暴力的な役しかオファーが来ないことが悩みの種だという。
まさに、事実は小説(映画)よりも奇なりだが、どんなシナリオライターが思いつくよりも恐ろしいストーリーだった!