ご褒美作戦も効果的
そのほかにも、ゲーム機器などを親に預かってもらい、やりたくなったときに「やってもいいか」と許可を取るようにする方法などもあるという。ひとつの方法を試してなかなか改善されない場合には、子どもに合いそうな方法が見つかるまで試していくのがよいそうだ。
一方で、これまでやっていた依存行動をいきなり完全にやめさせることは難しい。ゲームやスマホであれば、受験を控えている場合あっても子どもと時間を決めて約束し、その枠組みのなかでやらせる対処法はアリだという。
「『ゲームは一日◯分まで』と決めて、子どもが約束を守れたら好物をつくってあげる、息抜きに行きたい場所へ連れていくなど、親の負担にならない程度のご褒美をあげるようにするのもおすすめです。
我が子の依存行動を減らしたいときに『志望校に落ちたら、目指しているやりたい仕事に就けなくなるかもよ』などの将来的に起こり得るリスクを伝えても、本人には響かないことがあります。それよりも短期的なメリットを与えたほうが、効果が出るケースも多いんです。
逆に、子どもが約束を守らない場合は、『これ以上やったらお小遣いはなし』など、依存行動を減らさないと実際にデメリットが起きる状況をつくることも有効です」
「勉強しているか」だけで判断しない
我が子の心配が尽きない受験の時期。だが前田先生は「『見えている部分』だけで判断しないようにしてほしい」と言う。
「受験生の子を持つ親はどうしても、子どもが『勉強をやっているか・やっていないか』ばかりを重視しがち。気持ちはわかりますが、ゲームやスマホばかりしていること自体を問題視するのではなく、理解し、サポートしようとする姿勢を持つことのほうが大事です。
依存行動を減らしていくための協力は必要な一方で、『依存行動をしてしまう気持ち』自体も、一度受け入れてあげること。お子さんによっては、親御さんが理解しようとしてあげるだけで依存行動が減っていくこともあります。
子どもは、なぜその依存行動をしてしまうのか、理由をうまく説明できないことも多いです。でも、たとえばストレスを感じたときに『なんだか胸がチクチクする・ゾワっとする』といった身体感覚がセットであり、それから逃れるために依存行動をしていることもある。
お子さんが『つらい、しんどい』と言葉でうまく言えなくても、依存行動をしてしまっている現状を否定せずに、まずは寄り添ってみてほしいです」