田舎の子育てはメリットがたくさん
子育てのために移住を決断した家族を、筆者は何組も取材してきた。その大半の家族が自然の中で子どもを育てるメリットを強く感じている。
海や山に囲まれた自然豊かな地域の保育園や幼稚園、小学校では、当たり前のように授業の一環として自然の中で過ごし、学ぶという時間が設けられている。大都会の保育園では車がガンガン走る道路に注意を払いながら散歩しなければならないが、田舎の保育園では、山歩きや海辺での散歩やお遊びが日常的に行われ、毎日のように大自然を体感している。
また、人口が少なく必然的に少人数のクラス編成となるため、先生が子どもたちに対して十分にケアできているのを筆者も実感している。さらに、田舎では地域ぐるみで子育てをサポートしようという意識が根付いているのも見逃せない。
このように田舎での子育ては、子どもにとってのメリットがたくさんある。関戸沙里さん一家もそんなメリットを強く感じているご家族。関戸さんは2018年に、小学校1年生の息子さんのため、東京から愛媛県にある大三島という人口6000人の島へ思い切って移住した。
「都会で子育てをしていたときは、人の目が気になることがよくありました。細かいことを気にされるお母さんもいるので、迷惑をかけているんじゃないかと思ってしまって。でも、こっちに来たらそのような気遣いが全然なくなりましたね。皆が自然体の子育てを望んでいるから、親としても非常に楽。子どもがなにかしでかしても、親同士は『あ、ごめん』『いいよ』でほとんど済んでしまうんです」
こうした声は子育て移住を果たした親からよく聞かれる。子どもたちはもちろん伸び伸びと、親たちだっておおらかに子育てを楽しみ、皆で助け合うスタイルが多くの田舎に浸透しているのだ。
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本書に記された“移住の心得”を携えて、自分らしい暮らしを求めて行動してみてはいかがだろうか。
終わり
写真/shutterstock