意外と忙しいし、収入も減少……それでも田舎暮らしが楽しいこれだけの理由_2

地域に受け入れてもらえないのは稀

不安要素のひとつとして、移住した新しい土地でどのように人間関係を構築していくか、という問題がある。人の少ない田舎には、よそ者を敬遠するという風潮が残る地域があるのは事実だ。

移住する前にはそのような風潮を知る由もなく、なにをやってもやらなくても、地元の人に受け入れてもらえないということがあるかもしれない。こうした人間関係への不安から、田舎暮らしを回避するという人もきっといるだろう。

ただ、そうした事例は稀である、と言いたい。むしろ、すばらしい人々との出会いが、田舎暮らしには待っていると、ポジティブな可能性に期待してみることをおすすめする。

筆者の場合、隣人の存在など気にすることもないような都会生活が40年以上も続いた後に、まったく縁もゆかりもない奥多摩の山奥へと移住した。もちろん、移住先でのご近所付き合いはとても不安だった。移住直後の知り合いは賃貸で住まいを借りた大家さんだけだったが、それから1年ほど経って、なにげない会話を交わせる地元の知人は数十人に増えていた。

人付き合いが得意ではないという自覚のある自分でもこのような具合だし、移住から6年ほど経った今、地元の交友関係は人生において大きな価値を持つものになったと強く感じている。あらためて人との出会いは予想できないものだと痛感させられている。

家の中にこもりがちでは、人間関係の扉が開かないことは明白だろう。近所のどこかでイベントがあれば出かけていき、誰かに宴会の誘いを受ければ他の用事があっても少しは顔を出す。近所の商店では会話を楽しみ、同時に近隣の情報収集もする。そんな積み重ねとちょっとした笑顔、挨拶があればすばらしい出会い、交友関係の広がりが待っていると信じたい。

人との付き合いはストレスにもなるが、この上ない喜びをもたらしてくれることだって多いのだ。