『ホドロフスキーのサイコマジック』(2019)Psychomagie:A Healing Art 上映時間:1時間40分/フランス

グロテスクなのに美しく、クレイジーなのに感動的! 奇妙奇天烈なカルト映画5選_5
カルト映画といえば、この人。アレハンドロ・ホドロフスキー監督
Capital Pictures/amanaimages

最後に、南米チリ出身の伝説的映画作家アレハンドロ・ホドロフスキー監督が、91歳で手掛けたセラピー・ムービー『ホドロフスキーのサイコマジック』を紹介しよう。

ホドロフスキーといえば、アンディ・ウォーホルやジョン・レノンらに熱烈に支持された出世作『エル・トポ』(1970)や『ホーリー・マウンテン』(1973)で知られる、元祖カルト・ムービーの巨匠。

3年前に製作された本作もまた、“ホドロフスキー映画”としか言いようがない、奇妙奇天烈な作品だ。

サイコマジックとは、“科学”に依拠した精神分析的なセラピーの対極にある、“アート”としてのアプローチから生まれたセラピーとのこと。ホロドフスキーが考案した心理療法だ。

映画では、ホドロフスキーが悩みを抱える人々に対してさまざまなサイコマジックの処方を行ない、人々を開放していく様子をオムニバス的に描いている。

2020年の日本公開時には、ライブストリーミング番組にパリの自宅から出演し、リモートでサイコマジックを行なった。映画というよりひとつの宗教のようであり、もはやホドロフスキーという人の存在そのものがアートのようにも思える。

美しきカルト映画の数々。見るにはそれなりの覚悟も必要だが、ハマるとおいそれとは抜け出せなくなるのでご注意あれ!



文/谷川建司