6日間の空きを見つけ、2度目の車中泊行き当たりばったりの旅へ

古いバイクにまたがり、友人とともに南米諸国を旅した若き日のチェ・ゲバラ。
58歳にして特注キャンピングカーを駆り、愛犬とともにアメリカ一周をした文豪・スタインベック。

彼らのように、自由な旅をしたいと思いたったのは今年はじめのことだった。

自由のために、旅の原則を三つ決めた。

 公共交通機関を使わないこと。
 高速道路を使わないこと。
 そして、宿には泊まらないこと。

それなら車中泊の旅しかないと考えた僕は、友人のつてで手に入れた激安オンボロスズキエブリイを自力でカスタム。必要最低限の装備ながら、快適に車中泊ができる専用車を作りあげた。

そして8月には初めての車中泊の旅を敢行した。8泊9日間で東北地方を巡る旅だ。

それは初めての車中泊による長旅だったし、犬を連れていったこともあって、楽しくもあり難しくもあった9日間だった。
狭い車中で連泊していたので疲れもたまったが、東京の家に戻って一週間もすると、早くも次の車中泊旅に思いを馳せ、気持ちがうずくようになった。

僕は基本的に自宅の自室で仕事をするフリーランスの編集者兼ライターなので、いくらでも自由な時間はあると思われるかもしれない。
それに今はリモートでこなせる仕事も増えた。
だが、対面での打ち合わせや取材・撮影なども少なくないし、中二の娘や会社勤めの妻とも都合を合わさなければならず、なかなか次の旅に出るための日程をやりくりすることができなかった。

しかし10月も中旬。ようやくそうした予定が入っていない連続6日間を発見。
すかさず準備を整え、第2回目の車中泊旅行に出ることにしたのだ。

土砂降りの車中泊の旅。秋の木曽路から飛騨路をどんなふうに走ったか_1
出番を待つ僕の車中泊専用車
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現在はその旅も終え、東京の家で机に向かっている。
初めにお断りしておくと、特に大きな事件が起こったわけでもない凡庸な旅だったのだが、車中泊という手段を使い、事前に計画を何も立てずに行き当たりばったりで、おっさんが地べたを這うように旅をするとどうなるのか。
そのいきさつに興味のある奇特な人もいるのかもと思い、本稿を書き進めている次第である。

数回に分けて書く予定の旅日記。今回はその第一回目だ。