全日本は「万全な状態で走りたい」

田澤といえば、留学生のごとき活躍から、SNSなどでは冗談めかして“レン・タザワ”と表記されることが多い。どんな状態であっても、日本人トップの座を譲らなかったのは、さすがとしかいいようがないが、田澤がいうように万全な状態で臨めず、しばらく他の日本人選手を圧倒するようなレースを見せられていない。もっとも、出雲で田澤に1秒差の区間3位だった青学大の近藤幸太郎も相当な実力の持ち主ではあるが……。

ともあれ、“大エース田澤頼み”ではなくとも、総合力で優勝をつかんだことは、駒大の選手たちにとっても大きな自信になったに違いない。

「全日本大学駅伝は、しっかりと万全な状態で走りたいなと思っています」

11月6日の全日本こそ、田澤は会心のレースを見せるつもりだ。

ちなみに、全日本で田澤は、これまでの3年間全て区間賞を獲得している。2年前はアンカーを務め東海大との接戦を制し、昨年は7区で3人を抜きトップに立つ活躍を見せた。そして、いずれの大会もチームは頂点に立っている。

田澤が万全な状態で駅伝に臨んだとき、駒大はますます手がつけられないチームになっていそうだ。そして、出雲に続き、全日本、箱根と、チーム史上初の三冠がぐっと近づく――。

取材・文・撮影/和田悟志