スーパーは顧客にも従業員にも楽しい場所であってほしい

動画配信は、外への影響だけでなく「ファインズたけだ」の社内にも変化をもたらした。

「当社のパートさんは50代~60代の方も多いのですが、変なことやっているなと始めは感じていたと思います。ですが、動画がバズったことでお子さんやお孫さんから『母さんがパートしているスーパー、動画やっているね』とか『けっこう面白いよ』と言ってもらったと嬉しい報告がありました。
自分が働くお店が話題になっているというのは少なからずモチベーションアップに繋がっていると感じています」

お店でパフォーマンスしているとお客様の反応はどうなのだろうか?

「遠巻きに見ていらっしゃることも多いですが(笑)、目的は商品をしっかりおすすめすることです。普通の店内放送だとスルーされてしまうので、替え歌で歌ったりダンスしたりしています。
また、パフォーマンスが飽きられないように、店内で声をかけてもらえばお渡しする副社長シールを作りました。
コロナ禍ですが、お客様とコミュケーションは大切にしていきたい想いがあります。
スーパーって楽しい場所でないといけないと思っています。お買い物タイムを当社で楽しんでまた来たいと思ってもらえるとうれしいです」

また、原材料の高騰による値上げへの対策は、惣菜や加工品を多くするようにしている。

「さまざまなものが値上がりしているので、どうしても物に値段を反映せざるを得ない。
なので、惣菜や加工品を増やして買いやすく、すぐ食べられるものを増やしています。
この街でもライフスタイルの変化で、調理済みのものを食べる中食も進んできているので…」

スーパーポジティブなローカルスーパー「ファインズたけだ」のSNS戦略_4
副社長に声をかけるともらえるシール

今後は、カタログギフトを活用した通信販売にも力を入れていく予定だ。

「動画のフォロワーが神奈川県や関東エリアに多いので、そんな人たちに私たちがおすすめする商品をお届けできたらと考えています。
『味の直行便』という全国の美味しいものや名産を集めたカタログギフトを扱っているのですが、販売数が全国600の加盟店の中で当社は3年連続日本一なんです!
売れ筋商品のデータがあるので、今後力を入れていきたいと思っています」

スーパー業界が取り巻く厳しい環境の中にあっても竹田社長の言葉は明るい。
「大手スーパーにはできない、ローカルスーパーの良さというのがあります。何度も言うように『顔が見える』というのはお客様に安心感を与えます。
このことこそ、ローカルスーパーの最大の強みだと思うんです。当社は2019年から日本一面白いスーパーと唱っていますが、いつもお客様や従業員が面白い!と思ってもらえることを考えていきたいと思います。そこはブレません!」

スーパーポジティブなローカルスーパー「ファインズたけだ」のSNS戦略_5
いつもパフォーマンスがキレキレの副社長・竹田温史氏(左)と社長の竹田智史氏(右)

取材/百田なつき