西本さんを魅了した制作現場
『Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀』のために日々忙しく駆け回る西本さんですが、意外にも「もともとは布袋劇にそこまで興味がなかった」のだとか。確かに、武侠の概念になじみがなく、台湾語も話せない外国人にとっては、なかなかハードルの高い伝統芸能のようです。
「そんな私が『Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀』という作品を通じて、布袋劇を再認識することができたのは、とても幸せなことでした。虚淵さんを始めとする日本の熱き魂を持ったクリエーターの皆さんとやり取りをしながら、現場でスタジオのスタッフたちと苦楽を共にし、同じ釜の飯を食いながら過ごすことで、彼らの布袋劇にかける並々ならぬ情熱や、独自の技術、職人技に魅せられていったというのが正直なところです、布袋劇という台湾の伝統芸能の進化形に大きな可能性を感じています」
「過去に通訳としてさまざまな日台、日本香港のコラボ作品の映像制作に関わってきましたが、この作品ほど日台の制作現場が互いを認め合い、尊敬し合うという対等な立場で制作されたものはなかったように思います。私自身も、霹靂社のメンバーも、日本とのコラボをきっかけに、改めて『霹靂布袋劇』の新しい可能性を感じることができました」
「私はこの作品にとても誇りを持っています」ーーそう語る西本さんの陰の努力が実ったからこそ、この日台コラボが成功したように思えました。
今回ご紹介した『Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀』は、日本からバンダイチャンネルやニコニコ動画、Amazonプライムビデオで第1話のみ、無料視聴が可能です。
取材・文/近藤弥生子、撮影/陳素稜