手が込んでいるのは特撮だけではありません。西本さんが次に案内してくれたのは、木彫りの人形や衣装、武器などを制作する現場でした。
こちらは人形造形の製作チーム。これまではすべて木彫りで手作りされてきましたが、最近では新たな試みとして3Dプリントを採用することもあるのだそう。削り出された人形たちは、一体一体丁寧にヘアメイクを施されていきます。
次は人形の衣装を制作する現場へ。
「『Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀』では、日本のニトロプラス社によるキャラクターデザインに合わせて、台湾のデザイナーが衣装や小道具を作るという協業が行われました」と西本さん。
「現場から『そんなのできないよ!』という声はなかったのですか?」と私が訊くと、「驚くべきことに、霹靂社のスタッフたちはどうしたら日本のイメージに近づけられるかと、懸命に試行錯誤してくれたんです。そんな姿勢に、私が感動してしまいました」とのこと。
人形の総重量は衣装や武器も合わせると3〜5kgほどとなり、人形師の操作にも大きく影響します。衣装はなるべく軽く仕上げてあげたいけれど、生地の見栄えにもこだわりたいところ。現場の挑戦は続きます。
そして私が最も驚いたのは、人形が持つ武器などを担当する小道具の制作現場です。
ニトロプラス社によるキャラクターデザインを元に、担当者は武器のコンセプトから外観、動きなどの使い方までをイメージして制作し、撮影チームに提案するというのです。彼らは普段からさまざまな素材を研究していて、イメージ通りの小道具を見事に創り上げてくれるのだそう。
こちらの石信一さんは、幼い頃から「霹靂布袋劇」の大ファンで、模倣した人形を自作して遊んでいたというほどの筋金入り。武器制作への思い入れも相当なものでした。