インデックスファンドの2大派閥

現在、インデックスファンドといえば「全米株式」か「全世界株式」のどちらかを選ぶ人が多いです。筆者の認識として全世界株式はインデックスファンドの歴史の中で一つのゴール、全米株式はブームの色が強いと感じています。

まずは全世界株式が支持される理由を説明します。その理由はインデックス投資を推奨する著名人が国際分散投資しているのが大きいと思います。

例えば、インデックス投資家たちのバイブルである名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』(日本経済新聞出版社)でも、基準指数は広範で包括的なものが良く、新興国なども含めた方が良いと言っています。

実は、この全世界株式に投資できる低コストの投資信託が登場したのはここ最近です。それまでは世界に分散投資したい投資家は国内株式、先進国株式、新興国株式の投資信託をそれぞれ購入して全世界株式ポートフォリオを自作していました。

それが一つの商品となって出たわけです。つまり、全世界株式の投資信託は一部の投資家からすると待ちに待った商品でもあるわけですね。ですので、僕はインデックスファンドの一つのゴールという表現をしています。

一方、全米株式ですが、こちらはブームというのが正直な感想です。過去アメリカ株は圧倒的なリターンを生み出しています。事実、全世界株式と全米株式のリターンを比較すると一目瞭然で全米株式の方が良いリターンとなっています。

過去リターンが良かったから今後のリターンが良いというわけではないのですが、人はどうしてもリターンが良かった銘柄や指数を好みます。

また全世界株式のうち、60%近くをアメリカが占めているので、それだったらアメリカだけで良いという意見もありますが、残り40%をどう見るかで見え方は変わります。残り40%しかないと見るか、残り40%もあると見るかですね。

どちらが良い選択になるかは未来になってみないとわかりませんので、自身の価値観で判断するしかありません。

ちなみに筆者は全世界株式派です。東大名誉教授で古代ローマ史を専門とする歴史学者の本村凌二さんも「人間社会は繁栄すると必ず退廃していく」とおっしゃっており、寛容の喪失は国家衰退の大きな指標とも言われています。

筆者自身、成長する国家は寛容であり、成長した国は不寛容になっていくと考えています。アメリカも例外ではないと思っているため、全世界株式を選んでいます。