ただし、須江監督や選手たちが執念を燃やした大阪桐蔭は準々決勝で下関国際に敗れ、横綱と戦わずしての戴冠だった。彼らにとって次の挑戦は、「大阪桐蔭を破っての日本一」なのではないか。

幸い大阪桐蔭には2年生ながら実質エース格の前田悠伍が残り、今夏ベンチに入れなかった1、2年生にも中学時代にその名を轟かせた好素材がひしめいている。一方の仙台育英もセンターラインを中心に今夏のレギュラーが残り、大化けが期待できる最速147キロ左腕・仁田陽翔という大器も控える。

また、仙台育英と同じ東北地方には佐々木麟太郎(花巻東)という超大物もいる。仙台育英の周辺を中心に、今後も高校野球界はますます盛り上がりそうだ。

夏の甲子園が始まって107年、優勝旗はやっと白河の関を超えて東北に初めてもたらされた。その重い扉 を開いた仙台育英は、次なる「日本一からの招待」を受けるべく前進し続ける。そして須江航という稀代の野球人がどんな風を野球界に吹かせていくのか、これからも見守り続けたい。

文/菊地高弘