「早く始めたほうが上手にはなるが……」

現在の日本女子ツアーが盛り上がりを見せているのは、岩井ツインズなど新しい若きヒロインが続々登場しているからに他ならない。そうしたニューヒロインたちは、みんな幼い頃からゴルフに打ち込んできた。タケ小山氏は“英才教育”の効果を認める一方で、危うさについても警鐘を鳴らす。


「ゴルフはやっぱり早く始めたほうが上手にはなります。それは間違いありません。兄弟姉妹で幼いときから始めれば、一緒にうまくなっていく可能性も高いでしょう。ただね、小さいときからゴルフをやって、プロゴルファーになれる人たちは、それなりにうまくいったわけです。氷山の一角です。ダメになったケースもたくさんあります。

『天才少女現る!』『天才少年登場!』と何度も見聞きしました。でもいつの間にかいなくなっている。メディアもそこはあまり追いかけないところだから、一般にはあまり知られていないですよね。

大学のゴルフ部までやれば、いわゆる社会性みたいなものをある程度は学ぶと思うんです。部活動ですから上下関係もあるし、大学は団体戦を戦う機会が多いので対人関係もあります。ところが小さな頃からゴルフ漬けで、例えば進学などもしないでいると、人と接する機会が極端に少なくなっちゃう可能性がある。やっぱり社会性に欠けた大人になりかねない。そこは心配ですよね」

8月末の「ニトリレディース」で初優勝から3週連続優勝を期待された岩井千怜は、残念ながら予選落ちしてしまったが、明愛はしぶとく13位タイに入った。注目を集める岩井ツインズは、幼いときからゴルフだけではなく、陸上競技やサッカーにも取り組んでいたという。試合で見せるメンタルの強さも相当なものだ。

タケ小山氏も6月末のリランキングの段階で「岩井姉妹は面白いですね。後半戦は頑張ると思いますよ」と熱視線を送っていた。ゴルフというスポーツの持つ特異性ゆえに現れた「ツインスター」のこれからが楽しみだ。

取材・文/志沢 篤