女子ゴルフの熾烈なシード権争いが生む「選手の劣化」。タケ小山の提言とは?_1
第13戦「リゾートトラストレディス」にて。左から3番目の辻梨恵はリランキングで順位を大きく上げた 写真/Getty Images

リランキング制度の意義とは?

3月の「ダイキンオーキッドレディストーナメント」から始まった2022年の国内女子ツアー全38戦。7月10日には前半戦最後の第19戦「ニッポンハムレディスクラシック」を終え、その時点の獲得ポイントでリランキングが行われた。

前半戦は、2001年度生まれの“新世紀世代”である西郷真央が昨シーズンのシルバーコレクターから見事に脱却し、11戦5勝と脅威の成績を残した。同じく新世紀世代の山下美夢有も国内メジャーを含む2勝、ミレニアム世代(2000年度生まれ)の西村優菜も2勝、黄金世代(1998年度生まれ)では高橋彩華、植竹希望が初勝利を挙げ、小祝さくらも勝った。ベテラン上田桃子も貫禄の勝利を見せるなど、相変わらずの活況を呈している。

ところでリランキング制度とは?

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のホームページによると、「シーズンの途中に、シード選手及び当該年度優勝基づき出場資格を付与する」(一部省略)となっている。要するに、今シーズンのここまでの試合で、シード権を保持しない選手の中から成績の良い順に出場優先権を与える仕組みである。

プロゴルファーでゴルフ解説者のタケ小山氏はこの制度について次のように語る。

「リランキングはやるべきです。リランキングの意義は、シード圏外で今一番調子の良い選手を出場させることなんですね。毎年3月に始まる女子ツアーのQT(クオリファイングトーナメント、※予選会)は前年の秋から冬にかけて行われます。つまり、開幕戦の3ヶ月以上前の試合の結果で出場権が決まってるんです。これでは開幕の時点で本当に旬の選手が選ばれているとは言いがたい。調子の良い選手がたくさん出場することは、そのフィールドのレベルアップにもなりますから」

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タケ小山氏

さらに、こう続ける。

「日本女子ツアーの人気は絶好調で年間の試合数が増えました。現状の38試合から来年は40試合になるかもしれません。それに伴って賞金総額も45億円を超えた。2020〜2021年の賞金シード(※年間の賞金ランキングで上位に入ると得られるシード権)の下限は3000万円を超えています。まぁ、昨シーズンは(コロナ禍で)足掛け2年と異例の長期だったので例外ですが、その前のシーズンでも2000万円くらいでした。これで試合数と賞金総額が増えると3000万円くらいになるかもしれない。そのこと自体はすごくいいことなんですが……」