兄弟姉妹プロを生むゴルフの特異性とは

ところでプロゴルフ界を見渡してみると、きょうだいでプロというケースはかなりある。

岩井姉妹は双子だが、彼女たち以前にも本山恵子・裕子(1991年プロテスト合格)、池内絵梨藻・真梨藻(2010年合格)、久保啓子・宣子(それぞれ2008年、2010年合格)と3組の双子姉妹がいる。

姉妹優勝を挙げているのは、福嶋晃子・浩子、堀奈津佳・琴音がいる。姉妹優勝はないが、横峯さくらと姉の瑠依もいる。兄弟姉妹では宮里聖志・優作・藍も。8月末の男子ツアー「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント」で初優勝した河本力は、黄金世代の河本結の弟で、国内4組目のきょうだい優勝となった。

きょうだいでの活躍がよく見られる状況について、プロゴルファーで解説者のタケ小山氏はこう分析した。

「まずゴルフというスポーツの特異性があると思います。他のスポーツとちょっと違うのは、兄弟姉妹が同じ場所でまとめて一緒に練習できる。練習場でもコースでもそうですね。レベルの違いはあっても、性別や年齢に関係なく練習できます。これはとても大きな要因だと思います。

例えば、男の子が野球を始めるとします。まずは少年野球チームに入って、リトルリーグやシニアリーグと進みます。その先は中学、高校の野球部ですよね。要するに年齢で野球をやる場所が変わっちゃう。ところがゴルフはみんながずっと同じフィールドで済んじゃうんですよ」

岩井ツインズが活躍! ゴルフの兄弟・姉妹プロはなぜ多い? タケ小山は「スポーツとしての特異性」を指摘_3
プロゴルファーで解説者のタケ小山氏
すべての画像を見る

たしかに8月末の「ニトリレディス」で優勝した稲見萌寧は、子供の頃から通う練習場に今でも行っているという。渋野日向子も実家の岡山へ帰ると、ジュニアの頃からラウンドしていたコースに練習しに行くそうだ。

「日本の場合は、ゴルフ場はほとんど郊外にあって子どもひとりじゃ行けないので親が連れて行くわけです。親がゴルフをやらせようと思わない限り、子どもが自分からゴルファーになりたいとは言わないでしょうね。野球みたいに、友達がやってるから自分もやりたいとはなかなかならないでしょう。

実際、今の若手の女子プロたちは、親が練習場に行くときに連れられて、打ってみたら楽しかったのが最初、というケースが多いです。2003年に宮里藍がプロデビューして翌2004年にはブレークするわけですが、そのあたりから少し流れが変わった気がします。お父さんたちが『娘が藍ちゃんみたいになってくれたら……』と思って練習場に連れて行ったり。

そういう中で、『お姉ちゃんが行くなら私も行きたい』と妹が言い出すのは自然ですよね。しかも親の立場でいえば、1人連れて行くのも2人連れて行くのも大差ないわけですし。コーチも共有できますよね。まあ、お金はかかるでしょうが」