古沼先生から聞いた「帝京魂」の本当の意味
――2試合を見て、決勝まで行く予感はしましたか。
青森山田戦での堂々としたプレーぶりから、もしかしたらベスト4くらいまでいくんじゃないかとは思いました。ただ、勝ち上がるかどうかということ以上に、インターハイは冬の選手権に向けて全国のレベルを知ることができるので、ものすごく価値のある経験が得られると思っていました。
今年のチームは守備にちょっと難があって、カウンターやセットプレーへの対応などに危ういところがあったんです。それでも青森山田に勝ち切って、準決勝の昌平戦ではクリーンシート(失点しないこと)ができた。大会を通してすごく選手が伸びてくれました。優勝は逃したけれど、成長率では大会ナンバーワンだったかもしれない。
――今大会、終盤での得点や逆転もありました。「帝京魂」ですか?
それ、帝京魂の意味を履き違えているかもですね(笑)。卒業してかなり経ってから、古沼先生(古沼貞雄元監督)がこんなふうに言ってたんです。
「みんな簡単に“帝京魂”って使うけど、もともとは、ほかの人のことを考える気遣いを言うんだ。たとえば、次に使う人のために整理整頓をしておくとか、合宿所で風呂に垢が浮いていたらそれをすくっておくとか。それが帝京魂なんだ」って。
でも、帝京魂とか伝統とか、そんなことは今の選手にはあまり関係ないと思うんです。優勝など過去の実績はリスペクトしなくちゃいけないけど、それを選手たちが重荷に感じるようではいけない。今の選手が主役で一番大事ですから、OBとしてそこを気遣ってあげないといけない。それこそ帝京魂ですよ。