「NFT×IP」で日本経済を牽引する

高い理想を掲げる石川氏の視線の先には、日本を超えて世界がある。前編でも触れた通り、日本のマンガやアニメ、ゲームはWeb3でキラーコンテンツになる可能性があり、現実世界の経済活動にインパクトを与える可能性も秘めている。暗号資産の分野では世界的に有名なプロダクトを開発する人物から、石川氏はこんなことを聞いた。

「日本のIPは、世界でもっとも『マスアダプション(大衆に浸透)』しやすいコンテンツだ。これをNFTで最大限活用されるのは、私からすると最も脅威だ」

しかし、その人物は間髪入れずこう言い放ったという。「日本では、それはできないだろう」と。

悲しいことに、この人物の発言は日本を取り巻くNFTの現状を物語っている。実は、日本国内で立ち上がったブロックチェーン関連のスタートアップが、次々と海外に流出しているのだ。理由はNFTを換金した際にかかる税率が、日本は世界と比べて高いことが挙げられる。与党もようやく重い腰を上げ、その対策に乗り出しているところだが、日進月歩で発展するWeb3の世界において周回遅れになっている可能性もある。

「約束のネバーランド」公式ファンコミュニティから見える「NFT×IP」の可能性_2
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しかし、石川氏はそんな日本にいながら希望を見出している。それは、コンテンツの熱狂的なファンであり、その力を誰より信じているからだ。

「IPの力で、国民の生活を経済的にも豊かにするんだという覚悟が必要なのかなと思います。例えば、アメリカはわずか7社の世界的IT企業がGDPを大きく押し上げて、日本を引き離しています。この例と同じように、NFTでは世界的なIPが7つあれば国の経済を大きく伸ばすことができると信じていますし、実際に日本にはそれだけのIPがあります。この力を最大限引き出していきたいです」

Web3の時代が訪れた未来では、現代はその創世記だったと語り継がれるだろう。その時に、IPの力を信じた起業家がどう評価されるのか。今後を見守っていきたい。

撮影/遠藤素子

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