IPの力が現実の経済活動に影響を与える
みんなのネバーランドのベースになっているGaudiy Fanlinkは、ここまで挙げてきた機能以外に、実用的な価値を持ったNFTを販売できる「コミュニティ内ストア」やオンラインライブ視聴者のみにサインを配布できる「NFTサイン会」など、NFTを活用した様々な体験を展開できるようになっている。しかし、石川氏は「自分がやりたいことの1%もできていない」と手厳しい。
「推し活をすることで、生活ができるような世界を築きたいんですね。例えば、ある作品のプロモーションを展開する際に、ファンが集うコミュニティに企業が対価を支払って後押ししてもらえるようになれば、ファンの方々は活動量などに応じて報酬を得られるようになるでしょう」(石川氏)
夢物語のように聞こえるかもしれない。しかし、NFTを活用して個人の経済状況を改善した事例は、すでに海外にあるという。
それが「Axie Infinity」というNFTゲームだ。「Axie Infinity」では、ゲームをプレイすることでアイテムを入手してマーケットプレイスで販売したり、クリアすることによって「Smooth Love Potion(SLP)」というゲーム内通貨(トークン)が入手できる。そして、このトークンは取引所で売買が可能で、換金ができるようになっているのだ。
この「Axie Infinity」で得られるSLPが暗号資産取引所に上場した際、時価総額で約8000億円をつけたという。これほどの価値があると、現実世界にも大きな影響があり、実際このSLPを持っていることで、これまで開設できなかった銀行口座を持てるようになったなど、貧困問題につながった事例が誕生しているのだ。
「正直、『Axie Infinity』のようなIPで約8000億円の価値がついたなら、世界的に有名なIPなら5兆円の価値がついても不思議ではありません。ブロックチェーン技術の利活用が進めば、IPによってより多くの人々の経済活動が後押しされる未来が訪れてもおかしくないでしょう」(石川氏)