一目惚れして購入、でも免許ナシ
そうしたMUTTの精神がグサリと刺さった人は、当然私だけではなかったようです。鈴木氏いわく、その人気は「現在も、何百台単位のバックオーダーを抱えるほど」。そして、MUTTならではの購入者の特徴といえるのが、私のように「バイクが初めて」という人が圧倒的に多いことだそうです。
「たとえば、当社が輸入代理販売する『ロイヤルエンフィールド』というブランドのバイクは、免許を持っていて買い替えを検討している方がいろいろなメーカーのバイクを見て回って試乗したあとに、気に入って購入されます。一方でMUTTの場合は、たとえばインスタグラムに写っている写真を見たあと、免許もないまま購入を決める方が実にたくさんいます」(鈴木氏)
また、MUTTの東京ショールームで店長を務めるピーシーアイ株式会社の間中信好氏はこのようにも語ります。
「購入される方の中には女性も非常に多いですね。一目惚れして実物を見る前に購入した方や、免許を持っていない方でショールームに来られて『実物を見てモチベーションが上がったので、これから教習所に申し込みに行ってきます!』という方もいます。あとは、若い頃にバイクに乗っていたリターンライダーの方にも人気です」
こうした傾向は、本国イギリスやほかのMUTT販売国などでも同様とのこと。まさにMUTTが思い描いたとおり、バイクと接点のなかった人へとリーチすることで、新しいバイク市場を創出することにつながっているのです。
「MUTTを買われる方は、機械の性能がどうこうではなく、MUTTのスタイリングと世界観に共感して購入されます。ほかのバイクと比べてどう?といったような質問をされることはなく、今買ったらいつ手に入りますか?という質問が直球で来ることからも、これまでのバイクとは一線を画している稀有なブランドだと思います」(鈴木氏)