Appleみたいなモノづくり精神
MUTTのどこにそれほどの魅力を感じたのか。それをわかってもらうためには、もう少しMUTTについて説明しなければなりません。
MUTTが誕生したのは、イギリス・バーミンガム。高価なビンテージカスタムバイクの製造を手掛けてきたカスタムビルダーたちが、「カスタムバイクをもっと身近に」という新しいコンセプトを掲げて、それまでなかったクールで、取り回しがらラクで、レトロな街乗りバイクづくりをスタートしたのが始まりです。
そして、2016年春に最初の1台を発表するや否や、そのバイクはたちまち大きな話題となりました。
「当社の役員が一目惚れして、すぐに現地の本社を訪れ、日本でも2019年4月から取り扱いを開始しました」と語るのは、MUTT国内正規輸入総代理店であるピーシーアイ株式会社のマーケティング部長・鈴木祐氏。
現在MUTTでは250ccと125ccの排気量に分かれ合計14のモデルがラインアップされていますが、そのどれもがクラシックな英国風カスタムルックを持ち合わせ、その高い品質と精巧なディテールには作り手の強いこだわりが漂っています。
私も、そのスタイリッシュなデザインに一番に魅了されたのは間違いありません。「市販のバイクはなんだかイマイチ。とはいえカスタムするにはどうすればいいかわからないし、そもそもお金がかかりそう」と頭の片隅にさえなかったものが、突然目の前に現れたことで、バイクの世界が一気に身近になったのです。
「MUTTの精神は、スティーブ・ジョブズが創業したApple社に似ているところがあるんです。ガレージでのカスタムなモノづくりから始まり、モダンなライフスタイルや都会的なカルチャーをベースとしながらメインストリームへと広がっていく。これまで一部の人だけのものだったカスタムバイクを、MUTTでは小排気量車にこだわることで、できるだけ多くの人に安価に届けたいと考えています」(鈴木氏)