「芸人としては(基地に)賛成です」
今年も恒例の新作コントライブは幕を閉じたが、もう一つ、大きな仕事が残っている。本土復帰50周年を祝して、小波津の運命を変えた日、8月13日に「那覇文化芸術劇場なはーと」で記念ライブを行うのだ。約1600名収容の大ホールだ。通常のコントに加え、喜劇を行う予定だという。
「復帰50年だからって、沖縄の人が盛り上がっているかというと、そんなことはないですよ。盛り上がってるのはマスコミと、右の翼の人だけでしょう。何が変わるわけでもない。今でも復帰後の形について『聞いていた話とは違う』ってモヤモヤしていた人もいる。
ただ、お祝いじゃないかもしれないけど、節目ではありますよね。いろんなものを振り返ったり、確認したりするにはいい機会だと思うんです。なので、現時点で、おれたちができることをめいっぱいぶつけるつもりです」
あえて聞いてみた。小波津は米軍基地に対して、賛成なのか反対なのか、と。
「芸人としては賛成です。ずっとあったら最高なのになー、って思います。こうして、いくらでもネタができますから」
小波津は年間を通じて、100個くらいのアイディアを頭の中で転がし、そのうち30本くらいを脚本に起こす。そして、最終的に10本ぐらいに絞る。その作業において、初演から18年間、行き詰まりを覚えたことはほとんどないという。
「沖縄はそれくらいいろんなことを抱えている。こういうことをやろうとか考えなくても、その時々に向き合っているだけで、ありがたいことにネタができていく。今、国内では核シェアをするとかしないとか論じ合ってますけど、沖縄の視点で行くと、配備されていた歴史があるし、僕は今もどこかにあると思っています。今回、核ミサイルのコントをやりましたが、話題になってるからということ以前に、沖縄では日常の問題なんですよ」
ただし、小波津は芸人であると同時に沖縄の人間でもある。
「うちなんちゅー(沖縄の人)としては、基地はなくなった方がいい。というのも、中国が攻めてきたら危ないとか言う前に、まず、戦争を体験してきた人たちの前に人殺しの道具を置かないで欲しいんですよね。見たくもないんだから。
僕は人間の性として、争いやケンカはなくならないと思う。でも、人殺しをする物を捨てることはできるんじゃないですか。もちろん僕も、矛盾したことを言ってるんですよ。芸人としてはあって欲しいと言ってるんだから。でもね、人間ってそもそも矛盾をはらんだ生き物じゃないですか」