自己資金100憶にフランチャイズも投入。地熱発電事業に夢を託すカリスマ事業者_3
「業務スーパー(株式会社 神戸物産)」の会長を辞め、現在「株式会社 町おこしエネルギー」で地熱発電事業に乗り出した沼田昭二社長兼会長
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エネルギー業界でも、まさかのフランチャイズ方式

第1号となる地熱発電所が再来年、稼働する。その後の目標はなんと「1年に1基」の発電所を作ることだ。このハイペースを実現するために、フランチャイズをエネルギー業界に持ち込むことにした。フランチャイズのオーナーは企業で、発電所建設と電気の販売を行う。

「地熱発電のリスクの99%は地下(調査・掘削)にあるんです。私どもが地下のリスクを引き受けることで、企業が地熱発電に参入しやすいようにしました。目標を達成するには『パワー×スピード』が必要で、『スピード』はフランチャイズで生まれます。私どもは販売店はやりません。だから『パワー』のほうに集中できるんです」。これも「業務スーパー」での経験があったからこそ、生まれた柔軟な発想だ。

地熱発電事業はビジネスチャンスなのか??

老婆心ながら、地熱発電が軌道に乗れば「これでまたガッポリ稼げますね! そんなにお金をためてどうするの?」とネットが騒ぎ出しそうな気もする……

「確かに地熱発電事業にはビジネスチャンスもあるんですよ。でも、私ももう68歳でしょ。お金が倍になっても2倍のご飯食べられるわけじゃない。幸いにもお金には困らない立場なので、次世代の子供のために、エネルギー自給率の向上をなんとしても達成したい」と笑顔で語った。

さらに「会社は大きくなってしまうと会長室に鎮座しとるだけなんで、あんま楽しくないですね。楽しいのは今ですよ。『業務スーパー』も初期はそうでしたが、やっぱり興すときが一番です」と少年のように目を輝かす。

元手10万円で布団カバーの行商からスタートして、庶民の味方である「業務スーパー」を上場企業にまでした沼田氏が、今度は子供たちのために、発電事業で夢を叶える日はそこまで来ている。

取材・文/加藤康一