従来のやり方を見直し、コストを削減へ!

新しい会社を立ち上げた沼田氏は、2度目の挑戦ではコスト削減に力を入れた。

「発電所を作るためには、まず山奥まで5億円とか10億円とかかけて道を直さないといけないことが分かりました。そのコストを回避するために、キャタピラーで自走するオリジナルの掘削機を開発しました。これで道路を整備しなくても作業ができるようになったんです。同時に、掘削用のやぐらを組む工程も省略できたので、1本2億円とも言われる掘削費用を6,000万円程度まで抑えることに成功しました」

無駄な費用を削るために「本当に必要なものは自分たちで作る」。これは「業務スーパー」で沼田氏が実践してきた考え方だという。

自己資金100憶にフランチャイズも投入。地熱発電事業に夢を託すカリスマ事業者_2
発電所を作っている熊本県阿蘇郡小国町

発電だけではなく、地域が抱える問題も解消

地熱発電に限った話ではないが、発電事業を行なう上で問題になりがちなのが地域との連携だ。環境破壊や事故への不安などから、地元の理解を得られないことが多い。

「大手は現地法人を作らない。全部本社で吸い上げるだけです。しかもコンサルタント会社に丸投げで、その中身は情報提供と地元説明会のサポートに留まり、地域が抱える問題をぜんぜん解決しない」と沼田氏は憤る。

その一方で「私どもは必ず現地法人を作って、現地に固定資産税とか法人税を入れ、それから現地雇用するんです。小国(今回、発電所を作っている熊本県阿蘇郡小国町)でも、10数名雇用して発電所の設計・建設から、熱水利用の養殖や農業などに従事していただいています。地域の方はここで学校を卒業しても働くところがないという問題を抱えていますから、こうした心配りをすれば大きな反対に合うことなく理解してもらえるんです」

そうした姿勢もあって、「町おこしエネルギー」は、すでに全国30カ所の許可を取った。