日本にある世界3位のエネルギー資源
ところで、純国産のエネルギー資源には太陽光、風力などの再生可能エネルギーに加え、メタンハイドレート(化石燃料の一種)などがある。それらの中から、なぜ沼田氏は地熱発電(火山付近の地下で高温に熱せられた蒸気や熱水を利用し発電する方法)を選んだのだろうか。
「資源がないと言われてきたんですが、日本は世界有数の火山国。実は地熱資源量は世界3位(アメリカ、インドネシアに次ぐ)です。言い方を変えればベスト3ですよ。なのに、地熱の発電能力は世界10位。まだまだ開発の余地があるわけです」
さらに利点はそれだけではなかった。「石油や石炭にしろ、火力発電というものは永久に燃料が必要ですが、地熱というのは地球がボイラーなので燃料代はゼロです。そして太陽光発電や風力発電と比較しても、24時間、安定的に電力を生み出せます」と良いこと尽くしだが、果たして、なんのデメリットもないのだろうか??
地熱発電からの撤退と上場会社の限界
多くのエネルギー企業が地熱発電に取り組まない理由は、初期費用の高さだった。調査にはじまり、高温の蒸気を地下から汲み上げるための井戸を掘る工事、そして発電所の建設と合計100億円は下らない。
実は、沼田氏は過去にその壁にぶち当たっていた。神戸物産では20年ほど前から地熱発電を含めた自然エネルギービジネスを行なっていたのだ。そして、メガソーラー(太陽光発電)、木質バイオマス(製材工場等残材、未利用間伐材を燃料とする発電)は、現在でも利益を出し続けているが、地熱発電だけは赤字で撤退となった。
「調査のための井戸を1本掘ると最低数億円でしょ。これがダメな場合は、損金を一括処理するためにお金をかけて、また井戸を埋めてしまうんですよ。そんなの、株主がいる上場会社だったら2本目は許可しないですよ」
沼田氏は上場会社の限界を感じた。そこで、自ら新会社「町おこしエネルギー」を立ち上げることにしたのだ。