ちょっとだけ働く「サイドFIRE」が現実的

月8万円の投資で夢のセミリタイア! お金に縛られない「FIRE」という生き方_1

サイドFIREとは、完全に仕事を辞めて全ての生活費を運用益でまかなうのではなく、時短勤務や業務委託で一部の生活費を稼ぐ、いわゆる「セミリタイア」のこと。投資でまかなう生活費が減る分、FIRE前に用意しておくべき投資元本も少なくなる。

例えば、FIRE後の年間生活費250万円のうち、120万円(月10万円)は勤労収入を得るとする。必要な投資元本は「(250万円−120万円)×25」で3,250万円。20年間、年4%で運用する場合、毎月8万8,610円を積み立てれば用意できる金額だ。生活費を減らす、または勤労収入を増やせば、さらに目標額は下がる。一気に実現可能性が高まったのではないだろうか。

ここで、月10万円を稼ぐのにどのくらい時間が必要か考えてみよう。東京都の最低賃金1,041円(2022年6月現在)で働くと96時間。8時間労働で換算すると12日、つまり週3日だけ働けばサイドFIREできる。残りの週4日は家族や友人と過ごしたり、趣味に費やしたり、お金にならない仕事をしてもいい。

完全なFIREには資金を要するだけでなく、仕事を辞めてしまうと社会との繋がりがなくなり生きがいを見失うこともある。自由な時間と労働のバランスが取れるサイドFIREは、現実的で自分らしい生き方ができる選択といえる。

大切なのは早期リタイアそのものではない。労働から解放されたいといっても、好きな仕事であれば続けたい、時短であれば続けたいという人もいるだろう。人生の優先順位を見つめれば、案外完全なFIREは必要ないのかもしれない。自分らしい生き方を求めてお金との付き合い方を考えることが、人生を豊かにする一歩といえそうだ。

文/吉村しおん