何を求めて移住するか具体的にイメージすることが大切

いってしまえば移住成功の可否は、「本人の気の持ちよう次第」のようである。これは「その人が移住に何を求めているか」と言い換えることもできる。その求めているイメージの具体性が強いほど、移住は成功しやすいといえる。もっとも強く求めているポイントが満たされていれば、大概のことは許容できるものなのである。

最初に紹介したエピソードの移住者は、「キャリア」と「スローライフ」のどちらを求めるかが本人の中できっぱり決まっていた。2人目に紹介した移住者は、田舎暮らしに漠然とした憧れはあったものの、何を一番に求めるかが固まっていなかった。反ワクチンの移住者はとにかく都会が嫌だったので、都会の外に脱出しただけでほぼ大成功だったといえよう。

筆者はというと、「家賃が安い」が最優先事項に来ていたので、虫が多かろうと家がボロかろうと「まあ家賃が安いからな」と納得できる。しかし自分の目尻がかようなまでに下がっていくとは想定しておらず、そこに不安を感じていて、これは移住の失敗した点である。

地方移住を成功させるには「求めているものの具体的なイメージ」を持つこと。そして地方移住を失敗させないためには「より多くのことを想定しておくこと」である。想定外のことに襲われると移住は失敗に感じられやすい。

本稿が、現在コロナ移住・地方移住を検討している諸氏の一助となれば幸いである。 

取材・文・武藤弘樹