「タトゥー裁判をあきらめない! 日本初、裁判費用をクラウドファンディングで集めたい」

2018年3月、クラウドファンディングのプラットフォーム「CAMPFIRE」で、日本で初めて、裁判費用を集めるプロジェクトが始まった。プロジェクトのページには、タトゥーの写真を1枚も掲載しなかった。

この訴訟は、タトゥーを賞賛したり、その是非を問うものではない。

長い間存続してきた一つの職業が、ある日突然「犯罪」とされることの不条理。私たちの暮らす社会で、こんなことがあってよいのだろうか。クラウドファンディングを通して、そう問いたかった。こんなことが許されたら、社会にとって好ましくないと思われるもの、邪魔だと思われるものは、同じように排除されていくだろう。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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今は他人事でも、いつか自分の身に降りかかるかもしれない。彫師だけの問題ではない。タトゥーが好きか嫌いかは関係ない。

私たちは、どんな社会で暮らしていきたいのか、それが問われているのだ。

約50日間で、338万円ほどの寄付が集まった。これだけあれば十分な立証ができる。本当にありがたい。でも、それだけではなかった。

「私はタトゥーを入れている人に対し偏見がないとは言えません。しかし、見せしめのような逮捕はあってはならないと思います」

「ステレオタイプで多様性を認めない、息苦しい日本社会に風穴を開けるような判例をつくってください」

「おかしいことをおかしいと言える、そしてこれまでの考えをあらためて良くしていこうと努力する、そんな弁護士さんを応援したいから、そんな弁護士さんが必要だからぜひ使ってください」

「より寛容な社会をつくっていくため、職業として社会的に認知されうる地位を獲得するためにも頑張ってください」

「司法の世界とクラウドファンディングを結び付けるという発想に感銘を受けました」

「知らないうちに私たちの社会の包囲網が狭まっているんだと、初めて少し感じられ、じっとしているのは罪だと思い参加しました」

「これまで刑事弁護や行政訴訟は経済的要因により弁護士が好まない案件と言われてきましたが、今回の試みは現状を打破する大きな一歩になると確信しております」

「こうしたクラウドファンディングがあるのですね。自分の国、社会がどうあってほしいか、そうした思いを一個人が示すことのできる素晴らしい仕組みだと思います」

寄付とともにこうしたメッセージが届くたび、目頭が熱くなった。間違っていないんだと思えた。

有罪判決を受けようと、誰に何を言われようと、私たちは間違っていない。

たたかい続ける勇気を与えてくれた222人の支援者に、決してあきらめないことを誓った。

文/亀石倫子

はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール
井桁 大介 (著), 亀石 倫子 (著), 谷口 太規 (著), 丸山 央里絵 (著)
はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール
2026/5/15
1,012円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4087214109

社会の中で「おかしい」と感じたとき、不条理な壁に突き当たったとき、私たちは何ができるのか。差別、労働、環境問題、ジェンダー、社会保障──さまざまな課題に対し、裁判という方法で社会のあり方を問い直し、変革を働きかけるのが「公共訴訟」である。
本書は、実際の事例や当事者の物語を手がかりに、その歴史と役割を解説。公共訴訟はどのような戦略、連帯によって社会を変えてきたのか。裁判を「社会を動かすツール」としてとらえ、個人の声が制度や社会を変えていくプロセスと、その可能性を示す入門書。

同性婚訴訟、タトゥー裁判、大川原化工機事件、立候補年齢引き下げ訴訟……
もっと公正な社会を生きたいあなたへ

◆推薦◆
よりマシな社会をあきらめたくないすべての人へ。
ここに私と公共をつなぐ回路がある。
──哲学者 朱喜哲氏

少数の痛みは、「大したことない」ことにされやすい。
「こうなってほしい」が、感情の問題と一瞥(いちべつ)される。
公共訴訟はそんな社会の扉をこじ開ける、希望。
──NO YOUTH NO JAPAN創設者 能條桃子氏

自分たちの手で社会はどんどんよくしていくことができるなんて、なんだ、最高じゃないか。
──小説家 山内マリコ氏

◆目次◆
第1章 声をあげる人々、その物語──公共訴訟を知る
第2章 公共訴訟は社会をどう変えるか
第3章 公共訴訟の誕生と歴史
第4章 データで見る公共訴訟
第5章 なぜ数が少なく、勝ちにくいのか──公共訴訟の抱えるハードル
第6章 新たな動きが生み出す、新しい連帯
第7章 公共訴訟の未来

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