頭からっぽのモブとしか人間をみない
その考えをマスクは「NPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)」という概念で表現してもいた。バイデンは、「限られた会話パターンしかないNPC」であり、マスコミは「集合精神」あるいは「ドローン集合体」であり、「NPCメディア人形」にすぎなかった。
マスクは、頭をパカッと開けて「テスラは良い」と書かれたチップを「テスラは悪い」と書かれたチップに交換しているミームをシェアした。その画像のキャプションには「NPCに向けた新しいプログラム」と書かれていた。
それに対し、「個人は常に、自分の頭のなかで動いているソフトウェアを誰が書いたのかを考えるべきだ」とコメントしている。
また別の場所では、もう少し具体的に「たいていの人間はファイアウォールが非常に弱いため、簡単にプログラムされてしまう」と述べている。
世界をコードとして捉える視点は、あっさりと政治にも浸透していった。マスクは投資家のジョージ・ソロスを「システム・ハッカー」と呼び、彼が「悪夢のような偽りの亡命希望者」に資金を出していると主張。それだけでなく、NGOもテスラのディーラーに対する「偽りの抗議活動」に資金を提供しているとも語った。
移民の大量強制送還に至った衝撃のデマ
また、政府は不正で溢れ返っているとも主張。それはより大規模な「共感を突いてくる脆弱性攻撃」の一部であった。民主党は資金を使って「書類のない移民」を大量に流入させ、「永久的な多数派――一党独裁国家――を作り出そうとしている」という考えだ。
マスクは、民主党が亡命法の「ハック」を通じてそれを実行していると信じていた。「『亡命を希望する』という魔法のフレーズを唱えるだけで入れるんだ」と彼は言った。「何の証拠も求められない」。
マスクによれば、バイデンが国境を開いたのだという。アメリカは「殺人的な人食い人種のために(いろんな意味で)赤い絨毯を敷いている」のであり、「不法入国者」でも投票できてしまう――「2024年はおそらくアメリカ市民によって実際に決定される最後の選挙になるだろう」とマスクは語る。
選挙の前日、マスクはポッドキャスターのジョー・ローガンと数千万人の登録者に向けて、移民は「文字通り激戦州に空輸されており」、場所によっては書類のない移民の数が「700パーセント増加」していると語った。国境は「存在しないに等しい」と彼は言った。
だが、こうした見方は真実ではなかった。国境は開放されていなかった。亡命希望者は審査されており、申請の多くは却下されていた。
書類のない移民はおろか、市民権を持たない者が投票することも許されておらず、マスクが言うような不正事件はほとんど存在しなかった。人食い人種など存在しなかった。













