インバウンド依存が高い飲食店は間違っているのか?
外食業界の生き残り策として、インバウンド消費を戦略的に取り込んできた会社もある。サンマルクホールディングスがその一つだ。サンマルクは2024年に牛カツ「もと村」と「京都勝牛」を相次いで買収した。牛カツは訪日客のSNSや口コミで人気業態となり、今や来店客の大半は訪日外国人だ。Instagramでは「#gyukatsu」のタグがついた投稿が数万に及んでいる。SNSや口コミで評判が広がったのだ。
サンマルクの牛カツ業態の売上は全体の2割を占めている。この会社は「サンマルクカフェ」でよく知られているが、喫茶業態の売上は全体のおよそ3割だ。サンマルクはレストラン事業での成長に力を入れており、特にインバウンド消費を旺盛に取り込む牛カツ業態は成長への期待度が高かった。
しかし、牛カツを含むM&Aで傘下に収めた業態の月次売上は、2026年3月に前年同月比で0.3%下回ってしまった。サンマルクは「春節以降のアジア地域における渡航動向の変化の影響がみられる」と分析している。
インバウンド消費に依存していた飲食店が傾くと、SNSなどでは「もともと淘汰される運命にあった」などと厳しい意見も聞こえてくる。しかし、インバウンドは日本政府が「観光立国」による外貨獲得手段として積極的に推進してきたものだ。政府は4000万人程度の訪日外国人数を2030年までに6000万人まで増やす計画を立てている。
小野田紀美経済安全保障相は、中国政府による渡航自粛要請が出された際、観光業の中国依存に対して危機感を表明した。今年に入ってからも中国政府は日本の自衛官の中国大使館侵入を受け、SNSで改めて渡航を控えるよう国民に呼びかけていた。
政府側が中国依存のリスクを強調するだけでは、事業者側に不公平感も残ることになりかねない。「観光立国」を掲げていた以上、日中関係の再構築に向けた一層の努力が必要とされているはずだ。












