世界のサプライチェーンの血管に手を入れている商社

だから不足は、「ガソリンがない」という形では現れない。包装材が遅れる。印刷インクが足りない。接着剤が値上がりする。物流資材が詰まる。そして最後に、最終製品が突然消える。

この時代に、商社の価値は変わる。商社は単なる中間業者ではない。資源権益を持つ。現地政府との関係を持つ。船を押さえる。倉庫を押さえる。港湾に絡む。発電に絡む。鉱山に絡む。食料に絡む。化学品に絡む。つまり、世界のサプライチェーンの血管に手を入れている。

AIがどれだけ進化しても、電気がなければ動かない。半導体がどれだけ重要でも、レアメタルや化学品がなければ作れない。データセンターがどれだけ建っても、電力と冷却と土地と水がなければ維持できない。

世界がAI一色に染まるなかで、バフェットはそのAIを動かすための“現物の世界”を買っていたように見える。

AI相場に浮かれる投資家との決定的な違い

さらに東京海上である。これもまた、実にバフェットらしい。

保険とは、平時には退屈に見える商売だ。しかし有事には、リスクを引き受ける能力そのものが価値になる。戦争、災害、サイバー攻撃、物流混乱、気候変動、地震、豪雨、企業賠償。世界が不安定になるほど、保険の意味は重くなる。

しかも東京海上は、日本国内だけの保険会社ではない。海外事業を広げ、巨大災害や企業リスクを引き受けるグローバルな保険グループである。そこにバークシャーの保険・再保険の資本力が重なる。これは単なる株式投資ではなく、リスクの時代そのものへの投資である。

ここが、AI相場に浮かれる投資家との決定的な違いだ。

「AI関連株」は危ない? 熱狂相場の裏でバフェットが静かに「日本企業」の株を買い続けたワケ_2

いま日本では、高市政権がAIやセキュリティ分野で経済成長を目指すという。しかし、米国と中国のAI企業は、毎年、数兆円から数十兆円規模の資金を投じている。

GPU、データセンター、電力、人材、基盤モデル、クラウド、サイバー防衛。その投資規模も速度も、日本とは桁が違う。日本には優れた研究者も、精密なものづくりも、産業現場のデータもある。

しかし、基盤モデル、計算資源、資金力、リスクマネーの厚み、そして実装速度で、米中に大きく遅れているのは否定しがたい。

それにもかかわらず、日本市場では「AI関連」というだけで株価が何倍にも化ける銘柄がある。だが、実が伴っていない“なんちゃってAI関連銘柄”は、相場の逆回転が始まれば、真っ先にメッキを剥がされるだろう。