32歳でコスプレに目覚めるも独りぼっち
「お友だち」が消えたのは2年後。思わぬことがきっかけだった。
義父には前妻との間に子どもが2人いる。園田さんの弟も含めて、3人には金銭的な援助をしていたことがわかったのだ。
「それなのに、自分はいいようにこき使われていただけ。『ふざけるな!』と、ついに爆発したわけですよ。
仕事は続けていたけど、もう義父の言うことは一切聞かないって決めたら、幻視は見えなくなった。幻聴も聞こえなくなった。
でも、僕は寂しくなっちゃいましたよ。友だちは他にいなかったので、自分の味方がいなくなったみたいで」
落ち込みから抜け出せないまま、深夜、1人で『鋼の錬金術師』(略称ハガレン)のアニメ再放送を観ていて、大泣きしてしまった。
翌週、買い物に出かけるとハロウィーンでハガレンのコスプレをした若者たちを見かけた。
「他人と話せなかったのに、なんか知らないけど彼らに声かけちゃった。それが初めの一歩です。
で、なんと32歳にして、再び、コスプレをすることになりました。ハガレンの格好をしたのは、こういう人になりたいと思ったからなんですね」
コスプレをしてイベントにも参加してみた。だが、誰にも声をかけられず、1人でポツンといることが続いたという。
「今思うと、おそらく人を寄せ付けないような表情と態度をしていたんだと思う。無表情で、目だけが相手を睨みつけているみたいな。
だって、ずっと軟禁されて、ひきこもっていて、心は荒れていたし、当然かなとは思います」
自暴自棄な一方で、無視されたくない気持ちもあり、園田さんは思い切って自分がイベントの呼びかけ人になった。
いつも見かける同年代の男性にも自分から声をかけた。会話ができる人が増えてくると、いろいろな人から悩みを聞くようになる。
それをきっかけに、園田さんの人生は思いもよらぬ方向に動き出す――。
〈後編へつづく『「もう死んでいたかも」電車に触れたその瞬間――ひきこもりの自宅に現れた“元支援相手”が人生を変えた』〉
取材・文/萩原絹代


















