「各自治体が危機感を持ってありとあらゆる手段を尽くしています」
賛否両論のさいたま市の教員採用選考について、名古屋大学の内田良教授は次のように話す。
「教員志願者が減っていく中で、思いつく手段はすべてと言っていいほど、次々に緩和策が取られているという印象です。
学部3年生で教員採用の一次選考を受験可能にしたり、普通免許状を持たない人に特別免許状や臨時免許状を授与したりするなど、同様の取り組みは各地で行なわれています。
また、文部科学省は教員採用試験の前倒しも進めています。従来は全国的に7月に実施されていましたが、これを5月に前倒しするよう方針を打ち出しました。人材が民間企業に流れる前に確保したいという意図があります。
ほかにも、秋や冬に選考を実施して追加募集を行なうケースもあります。各自治体が危機感を持ってありとあらゆる手段を尽くしています」
こうした動きに対する懸念として、内田教授は次のように話す。
「そもそも教員採用選考の倍率が1~2倍の自治体は多く、小学校では『受ければ採用される』というような状況です。
また、1年目での離職者も非常に増えていますし、そもそも教科の学力が十分でなかったり、コミュニケーションに課題を抱えたりする人たちが教員採用選考に合格しているという話も聞こえてきています。
こうした中で要件緩和が進むことで、質の保証は大丈夫なのかという懸念があります」
内田教授は「現場ではすでに最悪の事態が起きている」と指摘する。
「なぜこのようなことが起きているかというと、その前提として『教壇に教員がいない』という最悪の事態が起きているからです。
義務教育が提供できないというのは、教育現場の崩壊を意味します。義務教育を維持するために、現場はギリギリの対応を続けているという状況ではないでしょうか」













