闘病生活のことをマンガにしようと思ったワケ
――闘病生活のことをマンガにしようと思ったのは、闘病中ですか? それとも寛解後ですか?
相原 退院した後ですね。退院して、仕事を再開しようとするんだけど、マンガが描けない。たとえば発病前に連載してた時事ネタの四コマとか、考えてはみるんだけど、本当になにも思いつかない。
「発病編」の冒頭でも少し描いたけど、カラッポになっちゃって。その時に妻から「自分に起こったことをそのままマンガに描けばいいじゃん」って言われて、「それならできるかも」と。それで、Sさん(担当編集)に相談したんです。
編集S 相原さんから、こういうマンガを描きたいって言われて、正直最初はちょっと心配だったんですけど、ネームを読んだ段階ですごくおもしろいし、これなら大丈夫だと思いました。
相原 うつ病のマンガを描くことについては、いちおう主治医にも相談したんですよ。そしたら、グループセラピーみたいに自分の体験を話すこともあるし、マンガを描くことで治療の妨げになるようなことはないだろうって。
ただ、病院って撮影禁止なんですよ。資料として撮ってもいいか、いちおう聞いてみたんですけど、それは無理だと。『入院編』では病室とか、院内の様子を自分で描くのにディティールがわからなくて大変でしたね。
――今も治療は続けてらっしゃるんですか?
相原 通院はしてますね。
――闘病中のご自身の姿をマンガにしてみて、あらためて気づいたこととや、客観的に見えたことなどありますか?
相原 うーん……そういうのはないですね。今はとにかく、自分が経験したことや、実際に起こったことをできるだけリアルに描こうとしているだけで。だから、今から振り返ったらこう思う、とかはあんまりないんですよ。
実を言うと、この連載がどういう風に終わるかも、まだわからないんです。
――そうなんですか?
相原 いや、なんとなく決めてはいるんですけど、でも同時に、次回さえも描けるかどうかわかんないっていう、わりと綱渡り的な感じで。
普通の連載だと、だいたい終わりは見えてくるんですよ。『真・異種格闘技大戦』とか『ムジナ』とかも、最初は決まってなかったけど、描いていくうちに見えてきた。でも、この作品に関しては全然見えない。どうしたら終わらせられるか。もちろん、最後には光というか、希望のようなものを描きたいとは思ってるんですけどね。