ジュエリーデザイナーと日本語教師
――現在のお仕事について教えてください。
日本で立ち上げた「Apocaθist(アポカシスト)」というブランドのジュエリーデザイナーをしています。素材にバイオリンやピアノなど、 楽器の部品を使用しているのが特徴です。
――ブランド名にはどんな意味があるのでしょうか?
ギリシャ語で「生まれ変わる、蘇生する」という意味です。 演奏を支えたのに捨てられてしまう楽器の弦やリードを、ジュエリーとして生まれ変わらせるというブランドです。移住前は伊勢丹などで販売していましたが、移住後は私がデザインして、制作は日本の職人に依頼し、オンラインで販売しています。
――アイルランドで販売はしないんですか?
アイルランドは寒い時期が長く、アクセサリーやジュエリー をつけても着込んだ服で隠れ
てしまうため、需要が少ないようなんです。でも、夫の職場のお土産コーナーに折り鶴をモチーフにしたピアスなどを置いてもらったら、州都のバイヤーの方が目に留めてくれて、ローカルアーティストの作品を扱う彼女のギフトショップにも置いてもらえるようになりました。
あと、日本語教師もしています。初めはプライベートレッスンだけでしたが、ご縁をいただきトラモアの中等学校でも教えています。八雲は日本で英語を教え、子孫の私は八雲の育ったアイルランドで日本語を教えている。かなり薄まっているとはいえ、血は争えないのかも? と思ったりしています(笑)。
――アイルランドの移住生活で驚いたことはありますか?
つい最近(1995年)まで離婚でさえ違法だったほど保守的なのに、どんどん先進的に変化していることに驚きますね。中絶も2019年に合法化されました。中絶をしていたら助かったであろう臨月の女性が、子ども共々亡くなってしまった出来事がきっかけでした。「中絶が違法なせいで命が失われた」という声が上がりはじめ、国民投票で中絶が合法化されたんです。同性婚も15年に合法化され、国単位での合法化は世界初。17年にはゲイであると公言する首相も誕生しました。
――すごい… …! 一方、宗教的に賛否もありそうですが。
そのとおり、アイルランド人の9割弱がカトリックなので、とてもセンシティブな問題なんです。それなのにさまざまな合法化を実現できたことが、いい意味で不思議というか、私も興味深いです。アイルランドは国土も人口もだいたい北海道と同じくらいですが、約540万人の人口のうち10%強が移民です。多様性を受け入れることで、この小さな国を発展させていこうという姿勢があるのかなと勝手に推測しています。













