価格差の広がりを生み出している売り主の強欲な姿勢
2月に竣工したばかりの「幕張ベイパーク ライズゲートタワー」(千葉県千葉市)も、高層階の部屋が次々と数百万円の値下げとなっている。
新築マンションでも、「ヴェレーナシティ相模原」(神奈川県相模原市)がファミリータイプで5348万円から約4300万円となり、既に購入した人は1000万円を損した形となっている。「不動産相場は右肩上がりで、二度と価格が下がることはない」という、アベノミクス以来の常識は覆されつつある。
都心から郊外まで一斉に始まった値下げラッシュは、不動産バブル崩壊の兆しなのか。もっとも、不動産のプロの視線は冷静だ。大手不動産デベロッパーの社員であるA氏は「バブル崩壊は騒ぎすぎだ」と断言する。
一体、どういうことか。データをつぶさに見ていくと、不動産市場の現状が浮かび上がってくる。東京カンテイのデータはあくまで「売り出し価格」をもとに計算したもので、実際の売買に用いられた数字ではない。
実際の売買に用いられるデータを見ると、まったく違った景色が広がる。市場で取引される不動産のデータをまとめている東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータをみてみよう。
首都圏の中古マンションの「新規登録価格」は2月までの1年間で5037万円から6294万円へと約25%上昇しているが、「成約価格」は4985万円から5458万円と、上昇幅は9%程度にとどまる。
新規登録価格と成約価格の差は、1年間で52万円から836万円と、実に16倍に増加している。これは2月だけが特殊だったのではなく、1年間かけてジリジリと広がっていたのだ。
「ワニの口」とも呼ばれる、価格差の広がりを生み出しているのは、売り主の強欲な姿勢があるとA氏は説明する。アベノミクス以降の長年にわたる右肩上がりの不動産相場の中、都心部では買った価格よりも高い価格でマンションが売れることは当たり前となった。
特に新型コロナ禍以降は、「今買わなかったらもっと上がる」という先高観が浸透し、買いが買いを呼ぶ展開が続いた。こうした状況が続く中、「欲をかいた一部の人々が相場よりも高い強気の価格を提示するようになった」とA氏は話す。
例えば、前述の晴海フラッグ。かつて本コラムでは最上階の部屋が8億円で売りに出されていたことを伝えたが、A氏は「『こんなに価値が高いマンションですよ』と宣伝するための値付けで、本気であの価格帯で売ろうと思っていたとは考えにくい」と話す。













